「そのあとに性教育をしたんです。」
その後、自分の本の朗読をした。
「すべてのことが人生には色々起きるけれども、愛で包むというメッセージを届けるというふうに収斂させることで、わからないこともわからないまま小学生の頭の中に残っていて、いつしかもっと深く理解するかもしれないですよね。」
三浦さんは「性被害は恥」だという、社会のよくわからない常識が彼女に浸透する前に教えておきたかったと言う。
自分自身は母親には打ち明けられず、大人になるまで苦しんだ。
今、娘とは常からしっかりコミュニケーションをとるようにしている。
親は“気付かない”を前提にしてほしい
「親というものは自分の子供に対してよくわかっているという自信があるために、もし何かあっても気づくはずだと思い込んでいると思うんです。忙しいと子供の気持ちをついついほったらかしにしてしまうのですが、『気付かない』ことを前提にしてください。」
子供に日頃から自分の気持ちを表現するやり方を教えるのに最適なのが親子の会話だと思うと語る。
「子供は、本当は親に察してほしいと思っているんですけど親も違う人間だから言ってくれなきゃわからない。そういうことを言っておくと子供は『言っていいんだな、いつ言ってもオープンに迎えてくれるんだな』って思ってくれる。これが大事なんです。」
子供に対する性犯罪をなくすにはどうするのか、日本においてその議論は始まったばかりだ。
「ですから私たちは、犯罪の可能性がある社会でともに生きているということをやっぱりまず自覚することです。」
そのことを最も身を以て知っているひとりが私だと、静かに語る三浦さん。
「不幸って、次々に降りかかることもある。だから自分たちが悪いわけじゃないということをわかってほしい。子供が偶然被害にあわれてしまった方は、どうやって子供を幸せにするかってことを考えてあげるといいと思います。」
今日本の社会に一番欠けているのは被害にあった人に対する手助けだと言う三浦さん。
「その人がその後うまく生きられるようにしてあげることこそ必要なことだと思います。」
被害者は露ほども悪くない―――。
そんな当たり前のことが常識になる社会になるよう、まずは親である私たちが、何かあったら子供がいつでも私たちと出来事を共有してくれるように準備したい。いつでも味方でいてあげたい。
三浦さんのインタビューが終わるころには、私は子供を抱きしめたくて居ても立ってもいられなくなっていた。
【参照:『孤独の意味も、女であることの味わいも』(新潮社)三浦瑠麗著】
【インタビュー&執筆:フジテレビアナウンサー 島田彩夏】