人間は、不安の気持ちが強いとき、空白を埋めようとするのです。空白がないことで安心するという効果が大きいので、どうぞ、それは抑えきれないものなのだと認めましょう。今だけのことかもしれませんから、奥様の買い物については、程度にもよりますが、少し大目に見てあげてもいいのではないでしょうか。
デマに踊らされてティッシュペーパーやトイレットペーパーが棚から消えた時期がありましたね。あれも私たちの不安の表れです。とはいえ、買い占めによってほかの人が迷惑を被るのは残念なことです。今は、どうぞ、買い占めても誰にも迷惑をかけないものを──。同じ紙なら本や雑誌(特に週刊文春WOMAN)がお薦めですよ(笑)。
笑い話みたいですが、人々の不安を鎮めてくれるツールとして、活字はとても強力です。古来、情報を制した者が社会を制してきました。ぜひ、活字媒体を買い占める勢いで。紙には意外なほど重量感があり、手にしたときの満足感が高いんです。活字媒体は、内容の割にはリーズナブルですし、ステイホームは、本を読む人が読まない人に大きく差をつけられるチャンスでもあります。
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text:Atsuko Komine
【週刊文春WOMAN 目次】特集 コロナ禍を生きる/新しい地図/ジェーン・スー×中野信子×磯田道史/太田光 コロナ禍のお笑い、ラジオ論/森友自殺職員妻 裁判開始へ
2020夏号
2020年6月22日 発売
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