小田原城の魅力は、戦国時代と江戸時代、2つの異なる時代の城が共存していることです。
小田原城といえば、“戦国大名・北条氏の城”として知られるところでしょう。5代・氏直の頃には関東一円を支配するほどの強大な勢力を誇った、北条氏が本拠地とした城でした。北条氏は、天正18年(1590)の豊臣秀吉による小田原攻め(関東攻め)で降伏し、滅亡。北条氏を倒した秀吉は、実質的な天下統一を果たすことになります。
現在の小田原城は“北条時代”とは別物
本丸にそびえる立派な天守を見上げると、「さすがは北条氏の城だ!」と感嘆します。しかし、現在の小田原城は北条時代の城ではなく、北条氏の滅亡後に大改修された城。まったく別の城といってよいほどに大改修された城をもとに、現在の姿に生まれ変わっています。
北条氏の滅亡後、関東は徳川家康の領地となり、小田原城は大久保氏によって天守や石垣のある近世の城へと改修されました。その後、寛永11年(1634)から稲葉正則により大改修され、一新。
その後、元禄大地震で天守や本丸御殿など建物がほぼ倒壊・焼失し、石垣や土塁も崩落したため、再整備されました。現在本丸に建つ天守は、雛型や宝永年間の再建の際に作られた模型や設計図をもとに、昭和35年(1960)に外観復元されたものです。