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これはシステムの誤作動なのか、それとも……

 感情のこもっていないような音声の答えに私は少し恐怖を感じました。それを気にしない様子の社長様は、続けて質問をされました。

「その22人はどこにいるの?」

 答えは即答でした。

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「寝室におられます」

 社長様は私の方を見ながら、少し微笑むとこう切り出されました。

©iStock.com

「三木さん、これはシステムの誤作動なのか、霊を認知しているのか、それを知るために今からお経を挙げて下さい」とおっしゃるのです。

 つまり、もし霊の人数を数えているのならば、私がお経を読んだ後にこの家にいる人の人数が、2人になっていないといけないはずだというのです。もし読経後も人数が変わらないようであれば、システムを再構築しますとのことでした。

「今、この家には何人の人がいる?」

 私は、読経を始めました。読経すること15分、私は社長様に人数の確認をお願いしました。社長様も緊張した面持ちで質問されました。

「今、この家には何人の人がいる?」私は固唾を飲んで答えを待ちました。数秒後、答えは再び無機質な音声でこう答えました。

「この家には、2人おられます」

 私は面目躍如と安堵しまして、社長様宅から帰宅いたしました。

 この実験は、ある意味で私とコンピューターの信憑性を問われるものでした。近い将来、霊の存在を検知するシステムが確立されるかもしれません。

 もしかすると、携帯電話にもこの機能が付くかも知れません。いや、もしかしたら既に付いているのかも知れません。といいますのも、時折、何も言っていないのに、私の携帯電話が反応し「ご用はなんでしょう」と聞いてくることがあります。あれは私に対してではなく、霊と会話をしているのかもしれませんね。

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三木 大雲

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