私が履物を脱いで玄関に上がると「いらっしゃいませ。どうぞ右の応接間にお進みください」と部屋まで案内もしてくれます。
言われた通り、応接間の方に進むと自動的に応接間の扉が開き、その部屋のソファーに社長様が座っておられました。
「三木さんお待ちしていましたよ。どうですこの家。すごいでしょ」
社長様は自慢げに私に話しかけてこられました。
来客の好みを学習してくれる
私がソファーに腰をかけますと、再びどこかからこんな声が聞こえてきました。
「お客様、コーヒーなどいかがですか」と言われたのです。
「それではお願いします」と私が答えますと、ホットかアイスか、砂糖は入れるか、ミルクは入れるかと、立て続けに質問されました。
社長様のお話では、これでコーヒーを自動で作ってくれるというのです。そして、今の質問は記憶され、三木大雲という人の飲み物の好みを学習していくのだそうです。
「もしかして、出来上がったコーヒーを運んでくるのはロボットですか」
私がお聞きすると、さすがにそこまではまだ難しいらしく、社長様自ら取りに行ってくださいました。
2人でコーヒーを飲みながら、この家の機能の説明を色々とお聞きしていました。基本的にボタンを押して何かをすることはなく、家の名前を呼んで、して欲しい事を言えば、その通りにしてくれるというシステムです。
例えば、「クーラーを付けて」「電気を消して」などというように、声で全てが管理できるようになっていました。そして驚くべきことに「今この家には何人の人がいる?」と聞くと「応接間に2人です」と答えるのです。
霊感は科学で証明されるのか?
これは人感センサーが家中にあって、その人の体温や顔認証システムなどで確認をしているのだそうです。
私がこれら最新の機能に驚いていますと、社長様がこんなことを言われたのです。
「三木住職は以前私に、霊感はいつか科学で証明されるとおっしゃってましたよね」
私は常々、霊的現象や、魂の存在などは、このまま科学が進めば、その存在を確認できると言っております。
「もちろん、科学的に証明される日は来ると思っています。ただ、それがいつ頃になるかは分かりませんけどね」
そう答えました。
すると社長様が、その日が近いかも知れないとおっしゃるのです。
「それは、どういう意味ですか」