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「実は本日、三木さんに来ていただいたのは、一つの実験の為でもあるんです」

 私は、意味が理解できずに首をひねりました。

 しかし、「間もなく分かりますので、しばらくお付き合いください」と言われるだけでした。

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突然、家の音声システムが作動しはじめた

 そのまま応接間で話をしていましたら、ほんの少しだけ部屋のライトが暗くなったように感じました。

 そしてすぐに「間もなく9時です」という音声が流れました。

 あまり遅くまでお邪魔するのも悪いと思い、私が「それでは今日は帰りましょうか」と言いますと「まだ三木さんにはいていただきたいのです」とおっしゃいます。

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 すると社長様は、私に寝室に来て欲しいとおっしゃいました。案内された寝室に向かうと、電気が段々と暗くなってきたのです。「いつもはこのまま就寝するんです」そう社長様がおっしゃいました。

 私がいったい何が起こるのかと尋ねようと思ったその時です。

 突然家の音声システムが作動し出しました。

「いらっしゃいませ」「いらっしゃいませ」

「いらっしゃいませ」機械の音声が家中に響きました。

「誰か来られたのですか」とお聞きすると、社長様は登録した人以外は入れないはずなのですとおっしゃるのです。にもかかわらず、しばらくすると再び「いらっしゃいませ」と音声が流れます。

 その声がする度に、玄関の扉が開閉する音が聞こえます。

「いらっしゃいませ」「いらっしゃいませ」「いらっしゃいませ」

 無機質な機械音声が流れるのです。

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 そして数分後、ピタリと音声が静かになりました。

「社長様、これはいったいどういうことですか」

「実は三木さんにお越しいただいた目的は、これなんです」と、ここからある実験をしたいとおっしゃるのです。そして社長様は、家に向かってこう質問されました。

「この家には何人の人がいる?」

 すると家から驚くべき答えが返って来ました。

「22人おられます」