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夏に読みたい「怖い話」

そこにいるのは誰…? 新築の家から20人の“見えない来客者”を追い出した話

続々・怪談和尚の京都怪奇譚――「AI音声認識」

2020/08/10

genre : エンタメ, 読書

 京都・蓮久寺の三木大雲住職のもとには、助けを求める人が絶えない。ポルターガイストに悩まされている、人形をお祓いしてほしい、さまよう霊を供養成仏させてほしい……。そんな実話や自身の体験など、現代の怪談、奇譚の数々を収めた続々・怪談和尚の京都怪奇譚(文春文庫)より、背筋も凍る「AI音声認識」を特別公開。見えない世界に触れることで、あなたの人生も変わる……のかもしれない。

◆ ◆ ◆

 それは、横断歩道で信号待ちをしている時のことでした。隣に立っていた若い男性が、突然笑い始めたのです。そして何かを話し始めました。

 私が驚いてその男性を見てみると、耳にイヤホンがありました。そうです、携帯電話で話されていたのです。

 まるで何者かと交信でもされているのかと心配しましたが、そうではありませんでした。

©️iStock.com

 考えてみれば、私が若い頃には、携帯電話などありませんでした。携帯電話が出始めた頃も、最初は肩から下げる形の物で、今と比べて大変大きな物でした。

 それがいつしかポケットに入るサイズにまでなり、イヤホンさえしていれば会話が出来るまでになりました。一体、人類の科学力はどこまでいくのかと想像もつきません。

 実は先日、科学の発展に驚かされた事がありました。それは、知り合いのコンピューター関連会社の社長様宅に招かれた時のことです。

 この方は中国ご出身の方で、普段は中国で仕事をされています。しかし、今回、日本に新しい家を建てられたとの事で、ご招待いただきました。

最新のAIプログラムを実験する家

 この家は、日本滞在中に宿泊する為だけではなく、最新のAIプログラムの実験の為でもあるというのです。

 私がこのお宅にお招きいただいたのは、夜の7時を過ぎた頃でした。

 社長様の家の前に着くと、私はインターフォンを押そうとボタンを探してみました。しかし、インターフォンが一向に見つかりません。

©iStock.com

 そこで、玄関前から携帯電話で電話をしようとしたその時でした。機械的な音声で「どちら様でしょうか」と聞こえてきたのです。

 声の出所は分かりませんでしたが、私が「三木大雲と申します」と答えると「お待ちしておりました。どうぞお入りください」と、玄関の扉が自動的に開いたのです。

 さすが、AIプログラムの会社の社長様だけあって、この家はAI機能が組み込まれた家なのだと察しました。