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特集観る将棋、読む将棋

2020/08/01

叡王戦に縁のある棋士が揃った

 この対局の立会人は塚田泰明九段だ。ニコニコ生放送の解説は佐藤天彦九段。リモート解説に高見泰地七段。

 永瀬、豊島はどちらも、叡王戦の前身である電王戦でソフトに完勝した棋士だ。塚田九段はソフトと引き分けた棋士。そして、佐藤天彦九段はソフトが完全に人類を追い越したと誰もが思うようになった時代に、時の名人として第2期叡王戦トーナメントを勝ち抜き、その優勝者としてソフトと対局した。結果は敗退だったが、最後にソフトと公に対局した棋士となった。高見七段は、叡王戦がタイトル戦に昇格した後の最初の叡王である。偶然かどうかは分からないが、電王戦・叡王戦に絡む棋士が揃った。

塚田九段(右)と局面を検討する筆者 ©文藝春秋

 今回のシリーズは持将棋が話題になっているが、塚田九段がソフトと引き分けた対局も持将棋だったのは非常に面白い。

序盤早々桂馬を取られて良いのだろうか?

18手目、△7六飛車まで(ニコニコ生放送より)

 局面は18手目に豊島が8六の飛車で7六の歩を取ったところだ。

 しかし、ちょっと待って欲しい。

 この歩を取ると飛車の守りがなくなるので、▲8二歩と打たれて桂馬が取られてしまうではないか。桂馬の逃げ道になる7三と9三の歩は、どちらもまだ動いていない。桂馬を取られる代わりに何かを取り返せたり出来るのなら良いが、そういうわけでもないし、そもそもここで▲8二歩と打ったら、△8六飛車と戻って、▲8一歩成を△同飛車と取り返すつもりらしい。序盤早々桂馬を取られて良いのだろうか? 豊島の見落としか?

「こんな手を指したら、一昔前なら破門と言われる手ですけどねえ。指導対局だったら、桂馬が取られるよ、と教えて戻すくらいだよ」

 と塚田九段。「一昔前なら破門」というのは、感覚的にしっくり来ない指し手を見た際によく使われる慣用句化した表現だ。

 実戦も、▲2四歩、△同歩と突き捨ててからではあるが、その手順に進んだ。

24手目、△8一同飛車まで(ニコニコ生放送より)

 勿論見落としのはずはない。それどころか、桂馬を取られて手番も渡したにも関わらず、後手不満なしらしい。

 オンライン解説の高見七段は「歩は皮膚のようなもの」と言う。先手は7筋と8筋に歩がないので、先手は桂馬を得したものの、肉が露出しているのだ、とのこと。肉が露出しているのが痛いのは人間も将棋も同じのようだ。

INFORMATION

第5期叡王戦七番勝負第4局 棋譜
http://www.eiou.jp/kifu_player/20200719-2.html

第5期叡王戦七番勝負第6局(2019年8月1日13:30放送開始)
https://live2.nicovideo.jp/watch/lv326756293

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