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恐喝、脅迫、強要は日常茶飯事

 なにもかも露骨で、具体的にはすぐたかられる。前述した右翼団体は珍しいケースで、飯を食うときでも大抵はこっち持ちである。取材させてもらっているのだから当然なのだが、それが度を越している。ゆすり、たかり、恐喝、脅迫、強要は日常茶飯事で、ときおり襟首を掴まれたりする。ただし殴られたことは一度もない。曲がりなりにもプロということだろう。

 また、そこまで緊迫した場面になる前に逃げるからで、言ってみれば私が臆病だからである。もし変に不良かぶれだったら、売り言葉に買い言葉でトラブルになったはずだ。もし喧嘩になって、なんとかその場を切り抜けたとしても、暴力団に暴力を行使すれば、あとできっちり落とし前をとられる。そうでなくてもかなり面倒な事態になるだろう。暴力団はしつこい。怖いというより粘着質なのだ。それが仕事なのだから、真面目というべきかもしれない。

したたかに対価を迫られる

 大阪の暴力団――それも末端の組員たちは、取材によって私が利益を上げていることをしっかりと認識していた。我々が情報を与えて儲けているんだから、それなりの対価をよこせ、というわけだ。

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 はっきり言われることもあるし、暗に匂わせてくる組員もいた。一切、対価を求められないこともあったが、割合から言えば、10回に1度くらいだろう。言われるほうがやりやすい。金額を提示せず、ねちねちやられると、落としどころがどこか分からない。

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 場合によっては、1万円から2万円ほどの現金を渡す。どうせ偽名だろうが、領収書は書いてくれる。そのうえで取材の場となった飲食店の代金を払う。これがだいたいの相場となった。一般誌でも、取材先に謝礼を払う習慣があるが、相手が暴力団なので最初はふっかけられた。20万円からはじまって5万円辺りが相手の希望金額で、それを徐々に値切ってこの金額に落ち着いた。

 金をむしり取られない一番の方法は、金を持たないことである。ないものは払えない。それが一番簡単だ。もともと裕福ではないので特段苦労はないが、こちらの経済状態は常にアピールしなくてはならない。身なりも貧相にしておく必要があり、ブランド品などはもってのほかである。

 財布にたくさんの現金を入れていくのも論外だ。「財布になんぼあるんや、みせてみろ」とやられたら、根こそぎ持っていかれる。3万円を上限にして、クレジットカードも他の場所に保管する。