咀嚼音が苦手ということは、外食はあまりしないのだろうか?
「外食はそこそこしますけど、週4くらいで自炊もします。そもそも、食べることそのものにあまり楽しみを見出せないです。それより、1日の摂取目安量とされている350グラムの野菜を毎日ちゃんと摂っていきたいです。自炊だと野菜の量がコントロールしやすくていいです。あまり時間をかけたくはないので大したものは作りませんが」
King Gnuから受けた影響
印象的だったのは、インタビューの中盤。遠野氏が突如、「King Gnuの話をしたいです」と切り出したこと。
「影響を受けたと思っているところがあるんです。何年か前にリーダーの常田大希さんが『Vinyl』という曲の歌詞についてツイッターに『パンチラインはここのフレーズだ』みたいな投稿をしていて、そういうことを言えるのってかっこいいなと思って。それまで、小説の盛り上がりとかはあまり考えたことがなかったんですが、この作品のパンチラインはどこか、ということを多少意識するようになりました。そうやって物語の起伏を意識して書くようになった直後に、作家デビューしたんです、確か。時系列はもうあんまり覚えていませんが」
『破局』には陽介の筋トレなど、印象的なシーンがいくつもあるが、遠野氏が明かしたパンチラインは意外な箇所だった――。
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遠野氏が「自分の実力以上のものを発揮できた」とする『破局』のパンチライン、高校から続けていたバンド活動を辞めた理由、デビュー前に投稿した不思議な習作、次回作の構想などについて語ったインタビュー「King Gnuと夏目漱石」全文は、「文藝春秋」9月号及び「文藝春秋 電子版」に掲載されている。
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King Gnuと夏目漱石 芥川賞受賞者インタビュー・遠野遥