仕事で利用したタクシーの車内で「若い女がタクシー使うなんて、いいご身分だね」と言われた。こちらが指定したルートを無視してわざわざ遠回りされ、3倍近くの乗車料金を支払うよう要求された。「色っぽいね、このあと暇? ホテル行かない?」と執拗に迫られた。

 耳を疑うようなこれらのエピソードは、先日『なぜタクシー運転手は女性にだけタメ口で態度が横柄なのか』という記事の公開後、数百件以上にわたって私の元へ寄せられた体験や意見のなかから、一部抜粋したものです。

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「性別」によって対応を大きく変える運転手

「タクシーハラスメント」には共感の声が大きく寄せられたほか、中には「たくさんの(主に)女性がハラスメントの被害に遭っていることを初めて知った」という男性からの気づきの声も少なくありませんでした。そのエピソードの数々から、特に女性や力の弱い者を狙った一部の男性運転手からのタクシーハラスメントは、日本中で日常的に行われていることを改めて認識した人も多いようです。

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 もちろん男性であっても、運転手から横柄な態度を取られることはあるでしょう。

 しかしながら、「自分1人で乗っているときは運転手がタメ口だったのに、途中で夫が同乗した途端に敬語に変わった」「料金を支払うとき、同乗している男性が先に降車するやいなや態度が豹変して、侮蔑的な対応を受けた」などの(あまりにも多すぎる)エピソードが示すように、「性別」によって対応を大きく変える運転手がかなりの数存在していることは曲げようのない事実です。

「乗車料金はいらないから、ヤらせてくれない?」

 私がとくに驚愕したのは、20代の知人女性から寄せられた体験談でした。

 夜にタクシーを利用した際、目的地周辺で人気のない道に入って車を停められ、男性運転手から「乗車料金はいらないから、ヤらせてくれないか」と打診されたというのです。知人はもちろん拒否しましたが、相手は簡単に引き下がらず「胸を触るだけ」などと何度も繰り返すので、仕方なく「夫を呼びますね」と伝えたところでようやく解放されたのでした。

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 さらに恐ろしいのは、このエピソードが極端にめずらしい事例ではなく、酷似する体験をした女性が1人や2人だけではなかったこと。「これから飲みに行こう」としつこく誘われたり連絡先の交換を求められたりするケースも多く、「誘いに応じるまでドアを開けてくれなかった」というような「監禁」に当たるものまで含めれば、被害の数はあまりにも膨大です。

 では、なぜこうしたタクシーハラスメントの問題が表沙汰になりにくいのでしょうか。

 考えうる理由のひとつに、被害者が「自宅(付近)の場所を知られているため、クレームを入れれば報復を受けるのではないか」と不安に感じていることが挙げられます。