1995年の沖縄米兵少女暴行事件。それがTBSのキャスターとして知られる佐古忠彦さんの、沖縄取材のきっかけだったという。爾来、取材で時折耳にした「瀬長亀次郎」という名前。それは米占領下に那覇市長、返還合意後は代議士として沖縄の“声”を挙げ続けた人物だった。
その生涯を綴るドキュメンタリー映画『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー』(全国順次公開中)で、佐古さんは監督を務めている。
「占領下を生きた世代に、米軍の理不尽な行為に毅然と対峙した亀次郎の姿は強く焼き付いていました。私は、県と国が対立する今の沖縄にどこか似た光景があると感じ、昨年8月に亀次郎のドキュメンタリーを放送したのです」
番組の反響は大きかった。そこで追加取材・再編集したものが今作である。94歳で逝き没後16年の今も人々の記憶を離れないのはなぜか。
「権力に屈しない生き様が、基地問題が昔話にならない現代に向けて考えるきっかけを与えてくれるのだと思います」
亀次郎の生前インタビューや宰相・佐藤栄作との堂々たる国会論戦の映像から見えるのは沖縄問題だけではない。政治とは、政治家とは何か、大きな問題提起にもなっている。テーマ曲は、坂本龍一から書き下ろしが寄せられた。
『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー』
全国順次公開中
http://www.kamejiro.ayapro.ne.jp/