文春オンライン

2020/08/11

 そうして送られてきたイラストは、噂にたがわぬものだった。曰く“桑田先生の原稿は、ホワイトの修正や描き直しなどの汚れもいっさいない、美麗な絵画のよう”だったが、セブンの新作イラストはまさにその噂を体現するもので、初めて手にした際、20分近くひとりニヤニヤしながら、飽きることなくずっと眺めていた覚えがある。

 “好きでなった訳ではない”仕事で、決して手を抜くことなく至高のものをクライアントに提供する……原稿から桑田さんの、そんな声が聞こえた気がした。同時に“好きでなった訳では”と言いながら、やはり漫画や絵をこよなく愛されていたことを理解した。

自身が突き詰めた世界に……

 桑田さんは今、自身で描かれた般若心経、仏教の世界にいることだろう。そこは人生を生き抜いた、“達人”の行き着く先なのだろう。果たして自分がそこに行き着くことができるか、再会してセブンのイラストを発注することができるであろうか?……まだ未だ全然修行が足りないことを痛感しつつ、桑田先生のご冥福を祈る次第です。

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