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絵本作家・ヨシタケシンスケが“アイデア帳”にかきとめた「臆病な発明」とは?

イラストエッセイ『欲が出ました』

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(2)わー!イライラしてきた!

 わー!イライラしてきた! はなれて!はなれて! 今すぐその場所をはなれて!っていうのは、自分のことを描いてますね。何か切羽詰まってたんでしょうね。

 とにかく、自宅で仕事をしているので、すぐ気持ちがいっぱいいっぱいになりますが、なるべくそういうときは外に出て散歩をしたり、自転車に乗ったりして、環境を変えるようにしています。

 

 環境を変えると、人間の体って単純なもので、別の情報が入ってくるので、気持ちがもとに戻りやすくなる。まあ、昔からよく言われていることですね。

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 職場では、なかなかそう簡単に外に出られなかったりもするとは思うんですけど、気分転換の方法として、その場所から物理的に、精神的に、いかにして一旦逃げるかみたいなことを真剣に考えるのって、結構大事なことだと思います。

(3)どこまでなら失敗してもいいですか

 日々生きていて、こんなことやっちゃだめなんじゃないかとか、こんなことをしたら怒られるんじゃないかってことを、僕は小さい頃からいつも心配してるんですね。

 で、こうやったら怒られないんじゃないか、こうやったら僕のせいって言われないんじゃないかみたいなことを、今も日々考えてるんですけど、結局は失敗するのが怖いわけです。

 でもそれは、大人でも子どもでも一緒のはずで。

 

 だから、自分の子どもや仲間に、失敗してもいいんだよって、言いたいし、言ってもらいたい。

 で、失敗を恐れてたら何もできない、やっちゃおうよっていうときに、はっきりこれって、どこまでなら失敗してもいいですか、って最初に担当者に聞けると楽かなと思ったんです。

 僕なら、そういうやり取りがあれば、勇気がわいてくるし、ほっとできる瞬間があるはずだと。

 ここまでだったら失敗しても怒られないんだ、やっちゃって大丈夫なんだと、そういうのを事前に聞けちゃう雰囲気こそが、実は何かをやろうという上で、一番大事なんじゃないでしょうか。