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絵本作家・ヨシタケシンスケが“アイデア帳”にかきとめた「臆病な発明」とは?

イラストエッセイ『欲が出ました』

note

 似たような話で。

 よろこぶ顔が見たいっていうことと、おこった顔を見たくないっていうのは、やんわりつながってる気がしませんか。自分の心の平穏のために、相手をよろこばせるのか、相手をおこらせないのか、っていうのが、手段としては真逆なんだけれども、出どころは一緒のような気がするんです。

 

 僕自身が小さい頃に、母親からほめられたいっていう気持ちと、母親からどうすればおこられないだろうかっていう気持ちを、どっかで混同して、間違えて育ってきたっていう感覚があるんです。お母さんは、全然怖くないのに、です。

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 ほめられたい気持ちが、おこられたくない気持ちになった。自分が肯定されたいっていうスタートだったのが、否定されたくない、ってなってしまった。それが一歩進むと、今度は、誰かを否定したい、になってしまうのかなとも。

 だから、ほめられるってこととおこられないってことの違い、全然違うんだけれども、何か同じ心の中から出てくるっていうのが、ちょっと興味あるなと思ってるところなんですね。

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 続きは発売中の『欲が出ました』(新潮社)でお楽しみ下さい。

欲が出ました

ヨシタケ シンスケ

新潮社

2020年7月17日 発売

絵本作家・ヨシタケシンスケが“アイデア帳”にかきとめた「臆病な発明」とは?

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