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(5)自分を肯定できないならば

 肯定欲っていうのが、あるんじゃないかと。

 ご時世として、自分を肯定できないならば、せめて誰かを否定していたい、って空気感があるような気がします。自分に何も誇れるものがないようなときに、自分の中の正義からはずれた人をみんなでやっつけようじゃないか、それですっとしようじゃないか、とか。

 自分が肯定される、されたいっていうのは、それこそ欲としてすごく根源的にあるんだけど、なかなか満たされるもんじゃない。

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 だからこそ、みんな、どうすれば「いいね!」をもらえるか、どうすればほめてもらえるか、どうすれば自分がもてるかっていうことを、必死で考える訳です。でも、それが思いどおりにいかないときに、せめてじゃあほかの人を否定してやろうっていう気持ちに結構なりがちなんだなと。

 自分がほめてもらえないのであれば、じゃあ代わりに人をほめようっていう選択肢もあるはずなんだけれども、あまりそうする人はいない。それも不思議です。

 自分が肯定してもらいたい気持ちはよくわかる。それはみんなそうなんだけれども、それがかなわなかったときに、なぜ他人を否定することが自分を満足させる代わりの手段になるんだろうか?

 わかるような気もするし、でも、不思議な気もします。