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(4)すごく好きは

 すごくきらいになっちゃうかもしれないから、ちょっと好きくらいでいてください。

 これは人の弱さですね。ちょっと好きくらいが、一番ずーっと近くにいられるんじゃないか。下手に結婚したりすると、離婚とかいろいろあるんじゃないかと、かえって怖くなる。そういう臆病な感覚って誰しもあるんじゃないでしょうか。

 

 すごく好きになるってことは、かわいさ余って全く逆方向にすごく振り切れる可能性も秘めているってことに気づく。それこそ作る側に回ってみると、ほめられるほど不安になるんですよ。

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 音楽アーティストでも、最高傑作が出ちゃうと、それでこの人一丁上がりみたいな雰囲気が生まれますよね。それを出せる人がどれだけ希少か、一発屋になるだけでもどれだけ大変か、っていうのがあるのにもかかわらずです。

欲が出ました』(新潮社)

 だから、何となく好きくらいの方が、ずーっと支持してもらえるんじゃないかっていうわがままな話なんです。メジャーになればなるほど、メジャーだっていうだけの理由で嫌う人っていっぱいいるし、自分もそうだったし。ヒットするってうれしいけれども、長く考えたときに、それは本当に怖いなあって思いました。

 商売として考えると、お菓子屋さんはお菓子が商品。芸人さんは本人が商品。「商品」を売って生活している人は、その商品を「好きになってもらう」のが仕事なわけです。恋愛に限らず、世の中のほぼすべてのものは「好きになってもらいたがってる」んですね。

 そう考えると、やっぱり「定番商品」にみんながあこがれる気持ちが、よくわかります。