1ページ目から読む
3/3ページ目

作品の成功でカネと名声が手に入っても

 ピエール瀧さんや槇原敬之さんがミュージシャンとして、またクリエイターとして薬物に手を出すのと同様、マンガやアニメ、ゲームなどこの界隈の人たちが往々にしてやらかす禁断の性癖が醸し出す始末の面倒さが世に出る割合が高いのは過剰なストレスと、それを捌くノウハウの乏しさだと思うんですよね。もっとも、自分の性癖をどうにかできるのであれば問題など起こすはずもないのですが、ごく最近、円満な家庭を築いていたはずの大物マンガ家がその作品のファンを公言する某有名女性アイドルに接近されて大爆発の果てに惨事を起こしたり、同じく綺麗系の作風で一世を風靡したマンガ家兼イラストレーターが似たような感じで四角関係に発展してグッズグズになっているのを見ると「作品の成功でカネと名声が手に入っても、それを適切に御して安定した良い人生を送ることのむつかしさ」を深く感じるのであります。

©︎iStock.com

 翻って、まだ20代の才能溢れる人物が、今回行ってしまったことは最悪のことであり、また迷惑をかけた方面を考えると芸能人の不倫レベルを超えるインパクトを業界に与えているなあとも思います。出禁ってレベルじゃねーぞ。

「事件を起こしたから人生終了」というわけでもない

 やらかしたことが事実なのであれば、やらかしたことはやらかしたこととして、被害者にはきちんとお詫びをし、起訴されたなら罪を償うなどしてしっかりと問題を解決していただくとしても、クリエイターとしての心が折れない限り、名前を変えてでもその人しかできないクリエイティブを続けて見返して、乗り越えて欲しいなと思うんですよ。

ADVERTISEMENT

 変人だからこそ才能を得て世に出て、たぶん普通の勤め人などできないからクリエイティブの世界にやってきた人が、世を渡っていくには自分の脳みそと両手しか残ってないんですよね。才能があるからこそ珍重され、才能が涸れればお払い箱になるこの世界で、その良いところでやらかしたことがいつの日にか「あのときはみんな苦労したな」と笑い話にできるぐらいになる日まで、うまいこと世の中を渡っていってほしいなと心から願います。

©︎iStock.com

 事件を起こしたことはアカンにせよ、事件を起こしたから人生終了というわけでもなく、償いと反省があればしっかりとまた再起できる社会であってほしいと思いますし、また、適切に友人や関係者に必要なことは頼りながら、心を折らずにやっていってほしいなと。

INFORMATION

 ついにこの日が来てしまった……。文春オンラインの謎連載、特にタイトルがあるわけでもない山本一郎の痛快ビジネス記事が待望の単行本化! 現在、Kindle Unlimitedでも読めます。

2019年5月15日発売!!

 その名も『ズレずに生き抜く 仕事も結婚も人生も、パフォーマンスを上げる自己改革』。結婚し、出産に感動するのもつかの間、エクストリーム育児と父父母母介護の修羅を生き抜く著者が贈る、珠玉の特選記事集。どうかご期待ください。