『Go Toキャンペーン』は安部政権の弱点?
また同日の『読売新聞』も「成田空港や新横浜駅から在来線などで東京に入る可能性もある。抜け穴はある」という観光庁幹部の懸念を紹介した。東京が除外されたとしても、多くの人は首都圏から東京に通勤している。首都圏から全国各地に感染拡大をするリスクは依然として残っているのだ。それでも政府がこのキャンペーンに固執するのは、次期総選挙の対策という面もあるだろう。小池はこのことを見抜き、批判の口火を切ったのではないか。小池も安倍も「選挙(自分)ファースト」の似た者同士であるからこそ、相手の心理をすぐに読み解いて、その“弱点”に攻撃を仕掛けたのかもしれない。
東京都が過去最高の感染者数を更新する中で、「Go Toキャンペーン」の実施を強行することは、首都を“感染震源地”とするコロナウイルス第二波を全国に広げることになるリスクが極めて高い。
「やっている感」の演出が巧みな小池・安倍
都知事選中の対策の甘さから感染拡大を招いた小池都政が「諸悪の根源」(7月9日の井戸敏三・兵庫県知事の発言。すぐに取り消し)であるのは間違いない。そんな事態を目の当たりにしてもなお、感染者の多い首都圏から人を移動させようとする安倍政権もまた責任重大だ。
小池と安倍の共通点は数多い。「やっている感」の演出でも、両者は才能を発揮している。安倍政権が新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案の成立にこだわった時も同様だった。民主党政権時代に成立していた新型インフルエンザ等対策特別措置法を「すぐに使えばいい」という法改正不要論が出ていた。例えば、「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日)は3月5日の放送で「総理が法律改正にこだわる理由は、コロナ対策で『後手後手』という批判を払しょくするため、総理主導で進んでいるとアピールしたいから」というコメントを紹介していた。国民民主党の玉木雄一郎代表も記者会見で、このコメントと同じ見方を口にした。