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防空という掛け声で、政府が必要以上のことをやらないかどうか

 防空ソングの歴史を簡単に振り返ると、(1)防空意識の啓発で発生→(2)防空体制への動員で増加→(3)現実との乖離で消滅、の3期にわけることができる。それはまた、民防空の成立と破綻の歴史でもあった。

 昨今のミサイル発射において、政府は「避難せよ」といっているのだから、「逃げずに戦え」と求めていた戦前・戦中と簡単に並べることはできない。

 ただ、防空という掛け声が、国民の組織化・統制に利用されたことも忘れてはなるまい。朝鮮や台湾向けの防空ソングさえあったのである。とすれば、今日も防空との名目で、政府が必要以上のことをやらないかどうか、チェックすることが求められよう。

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2010年、北朝鮮の軍事パレード ©共同通信社

 「身を守る防空」と「身を捧げる防空」はまったく違う。防空を否定するあまり、「身を守る防空」まで否定してはならないし、かといって防空を肯定するあまり、「身を捧げる防空」まで丸呑みしてはならない。

 この違いを見極めるためにも、歴史は柔軟に参照されるべきだ。防空ソングの変遷は、そのためのヒントとなるはずである。