Q アメリカはなぜTPPから離脱したの?
アメリカがTPPから離脱し、アメリカ抜きのTPP11として再度合意を目指しています。アメリカにはTPPから離脱したデメリットはないのでしょうか。(40代・女・農家)
A アメリカがTPPに入らないためにTPPは依然発効していません。
TPP反対運動をしてきた人たちは、ほっとしていることでしょう。
ところが、これがアメリカの農家にはマイナスになりつつあります。TPPが発効すれば、アメリカ産の牛肉や乳製品は輸出先の国で値下がりするはずでしたが、発効しないため、値下がりしていません。
一方、日本とEPA(経済連携協定)を結んでいるオーストラリアの牛肉は関税が下がり、今後ますます日本で売れるようになるでしょう。アメリカの農家の人たちは、「オーストラリアに先を越される」などと悲鳴を上げています。
それでもトランプ大統領は、別に気にしていません。農民たちが住んでいる州は共和党支持者が圧倒的に多い場所。農民たちを怒らせても、どうせ次の選挙では勝つ州だからです。
これに対して、工場労働者たちは、雇用が増えるとしてTPPからの離脱決定を喜んでいます。工場労働者が多い州はスイングステート(そのたびごとに振り子のように動く州)ですので、労働者を喜ばせれば、次回の選挙でもトランプ大統領の共和党が、その州で勝つだろうと考えています。これがトランプ陣営に有利になるだろうという思惑があるのです。
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