「前も話したかもだけど大谷翔平選手や藤井聡太棋士や芦田愛菜さんみたいなお化け遺伝子を持つ人たちの配偶者はもう国家プロジェクトとして国が専門家を集めて選定するべきなんじゃないかと思ってる。
お父さんはそう思ってる。
#個人の見解です」
RADWIMPSの野田洋次郎氏のこのツイートに、次のように反応した人がいる。
「『これぞ優生思想』という考え方をここまで無邪気に開陳できてしまうのは無知ゆえだと思う一方、私だって無知ゆえにトンデモ発言をしてしまっていることはあるかもしれない。そう思うとゾッとする。」
ベストセラー『五体不満足』の著者、乙武洋匡氏だ。
乙武氏自身、「障害者の代表」とみなされることを避けるため、障害や差別などに関連する話題には口を閉ざしていた時期もある。そんな彼が今「優生思想」に言及したのは何故なのか。
#3では、『五体不満足』当時からの社会や自身の変化に言及するとともに、「不倫騒動」や「政治家への道」についての今の率直な心境を語る。
乙武氏と同じく身体障害者手帳1級を所持する重度脳性麻痺者のライター、ダブル手帳(@double_techou)がインタビューした。(#1~#3の#3/#1から読む)
◆ ◆ ◆
世間への謝罪は、政治家を断念していなかったから
――2016年の「不倫騒動」で意外だったのは、「自分は聖人君子ではない」と繰り返し強調してきた乙武さんが、家族だけでなく、世間一般にまで広く謝罪したことです。
乙武 あの謝罪を出した時点では、まだ政治家として立候補することを断念していなかったからでしょうね。
政治に出ることを考えていなければ「お前らに関係ねえだろ、バーカ」ぐらい言ってたかもしれないです(笑)。
――今、政治家になる意欲は?
乙武 自分がなりたいと思ってなれる職業ではなく、人様からどう思われるかという職業なので。そういう意味ではなかなか難しいかなと思います。
私は、どんな境遇の人であっても同じだけのチャンスや選択肢が与えられる健全な社会を目指して、メディアで発信を続けてきました。そこに限界・天井を感じた時、「法律を作る」「予算を付ける」というところで実現していこうと腹を括り、数年間準備してきていました。
政治への道が閉ざされてしまった今でも、それ以上の方法・立ち位置というのは、正直未だ見出せずにいます。