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重度障害者2人が参院選当選、1年経って思うこと

――昨年の参院選で重度障害者のお2人が当選してから1年が経ちました。どう評価していますか。

乙武 障害のある議員だから甘い評価を下すべきだとは一切思わないんです。彼らも当選した以上はシビアな評価を受けるべきだと思います。

 フラットに見れば、わずか2議席の党に果たしてどれだけのことができるのかというと、なかなか厳しい。これは健常者の2人であっても非常に難しいと思うんです。

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 他方、彼らが国会にいることで予算付けや法律作りをする人の視界に入ることには、非常に大きな効果があると思います。その場に健常者しかいない中で議論が進む場合よりも「この法案ってこの人たちもそれでカバーできるんだっけ」といった視点が生まれてくると思うんです。

 そのためにはしっかりと税金をかけてでも、バリアフリーにするとか、オンラインでの参加を認めるとか、彼らが活躍できる土壌を作るべきです。

――では、お2人の活動に一定の意義を認めていらっしゃる。

乙武 そうですね。よく障害者の問題に対して「特別扱いするな」とか「優遇するな」と言われますけれども、それは初期設定の違いに全く目が向けられていない暴論です。元々人々のスタートラインというのにはデコボコがあって、それを多少台を使って他の人と同じにすることは優遇ではなく措置だと思います。そこを誤解している方が非常に多いように感じます。

 

障害者の訴えに対する冷笑的な態度は広がっている?

――昨今は、お話に出ている「国会のバリアフリー化」への反応などに顕著ですが、障害者の訴えに対する非常に冷笑的な態度が広がっていると思います。『五体不満足』出版当初のエピソードを拝読すると、読者からの反響がとてもピュアで、その対比が強烈です。何かが変わったのでしょうか。

乙武 それは、『五体不満足』には「社会のここを変えてほしい」といった提言的な内容が含まれていなかったからだと思います。なので、障害当事者以外は文句のつけようがなかったし、「頑張ってる障害者」とか「明るい障害者」とか、性格の部分で評価するしかなかったんだと思うんです。 

『五体不満足』を書いたのは、まだ親元で暮らしている大学生の頃でしたから。実際自立して仕事も始めて、社会での壁や理不尽なハードルがあると知って、僕の物の見方が当時と変わった、ということもあると思います。