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2020/08/29

genre : ニュース, 社会

 この時期に抗争が沈静化したもう一つの事情として、同年5月の、先述の伊勢志摩サミット開催もあった。各国首脳が集まる会議やオリンピックなどの国際的なイベントが開催される際には、暴力団業界では派手な事件を控える慣習があることも事件の発生がなかった要因とも推測された。

 ある指定暴力団幹部が当時の状況を明かす。

「国際的な行事の際に事件を起こして警察に恥をかかせたら、さらに取り締まりが厳しくなる。警察は目の色を変えてガサ(家宅捜索)だ、何だとすっ飛んでくる。あの時期は、とにかく静かにしていろ、という指示だった。天皇陛下の行事の際も同じこと。皇室の迷惑になるようなことはしないという伝統的な考えがある。皇室行事の際には警察の警備は最高レベルになるので、わざわざそのタイミングで事件を起こすバカもいないが」

サミット後、鳴り響いた銃声

「暴力団業界の紳士協定」で平穏さが保たれた伊勢志摩サミットが終了するとすぐさま、銃声は鳴り響いた。

 2016年5月31日、岡山市内で神戸山口組系池田組の若頭、高木昇が射殺された。殺害したのは6代目山口組系弘道会の幹部だった。池田組をめぐっては今年5月にも若頭の前谷祐一郎が岡山市内で、6代目山口組系大同会幹部に銃撃されて重傷を負う事件も発生している。この事件は2016年に射殺された高木の法事が終わった直後に起こっている。

関係者に流出した、2020年5月の岡山の銃撃事件の現場動画より

 2019年10月に6代目山口組ナンバー2、若頭の高山清司が府中刑務所を出所した前後からは、さらに凶悪な事件が多発する。

刑務所を出所した6代目山口組ナンバー2の高山清司若頭(中央) ©️時事通信社

 2019年11月には尼崎市の繁華街で山口組系幹部が、拳銃ではなく自動小銃で十数発の銃弾を乱射して神戸山口組系幹部を殺害するという残忍な事件も起きている。

尼崎の事件後、関係者に流出した写真には現場に残された自動小銃とみられる凶器が写っていた

 そして、今年8月15日夜にも、山口県内で神戸山口組系幹部(52)が銃撃され重傷を負う事件も起きた。拳銃を持って自首したのは、6代目山口組系組員の男。現在、発砲の関与を認める供述を始めているという。

「大きな音」は全国で鳴り響き続けている。暴力団業界の拳銃の需要は多く、価格は高騰したままとなっていることが推測される。(敬称略)

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