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小池正晃の引退試合のあの涙が、ベイスターズをもっと強くしてくれる

文春野球コラム ペナントレース2020

2020/09/03
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今でも思い出す度にちょっと涙ぐむ引退試合

 2009年の沖縄キャンプ、広島(石井琢朗選手移籍先)~中日~横浜と見て回る機会を得た。北谷公園野球場では中日の練習試合が行われていて、新入団の野本圭選手やトニ・ブランコ選手が出場していた。途中から左翼に小池くんが入って、僕は守備位置の小池くんにちょっと手を振ってみた。後日「小野瀬さんがいたの、判りましたよ」と云ってもらえて嬉しかったのを覚えている。とは云っても当時の僕はロン毛のカーリーにスーツでサングラスなんて怪しい出で立ちでしたのでそりゃ目立つわな。

 その中日のキャンプの後に宜野湾の横浜ベイスターズキャンプを訪れたら何と急遽休養日。中日は連日血を吐くような修練を重ねているのに、横浜は休み。休みか。結果は明瞭。そのコントラストはあまりにも鮮やかで、僕の心に深く残っている。話がとっ散らかっていけない。小池くんに話を戻す。

 そして小池くんは2012年に横浜復帰。2013年に現役引退。引退試合となった2013年10月8日阪神タイガース戦。7番1塁手として先発出場。4回にツーランホームランを打って、8回の最終打席にも決勝のソロホームランをかっ飛ばし、自らの引退に花を添えた。涙でぐしょぐしょになりながらも渾身の一撃を放った小池くん。今でも思い出す度にちょっと涙ぐむような、夢の中にいたかのような試合だった。

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 小池くんはその後ずっとチームに残って、2020年の現在も二軍外野守備走塁コーチとして若手の育成に励んでいる。長く低迷の続いたチームと、圧倒的な強さを誇ったチームの両方に在籍した経験が、今の若手にしっかり伝わりますように。僕は1999年以降の横浜の通奏音は小池くんが奏でていると思う。小池くんの引退試合のあの涙が、横浜をもっともっと強くしてくれる。僕はそう信じて、今日も横浜DeNAベイスターズの試合結果で一喜一憂を続けている。横浜DeNAベイスターズ、がんばるべし。ピッチャーの打順は9番にしてください。

小池正晃と筆者 2015年横浜スタジアムにて ©小野瀬雅生

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