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【試合後のお立ち台】

~ノーヒットノーランまであと2人という内容でしたが、今どんな思いですか?~

「まあそんなもんでしょうと思っています」

~9回マウンドに上がる時仙台のファンの皆さんから温かい拍手が送られました。どんな思いでマウンド上にあがりましたか?~

「ようやく名前を覚えて貰ったかなと思っています」

~周りが緊張している中で平常心を保っていられる秘訣とは?~

「何ですかね。基本的に無関心というか、自分の事しか考えていないので。まず自分でやることをしっかりやって。それが平常心に繋がっているのかなと思います」

 ~これからの戦いに向けて一言~

「いつも応援ありがとうございます。明日久しぶりに松井が投げるので、皆さんタオルを掲げて応援してあげてください」

 かようなやり取りがあったお立ち台。

 淡々と投げ込むマウンド上の姿とは異なり、独特な涌井投手らしさが随所に感じられる『ギャップ萌え』なお立ち台にイーグルスファンの心は鷲掴みされていた。

大河ドラマ“独眼竜政宗”で大滝秀治が演じた政宗公の師・虎哉禅師

 この涌井投手のお立ち台の後、ある人物を思い出す。

 幼少期の政宗様(梵天丸)の学問の師として厳しく教育し、大将である人物が備え持つ『強情さ』とは何かを教えた虎哉宗乙禅師である。

 NHK大河ドラマ「独眼竜政宗」では大滝秀治殿が演じておったが、覚えている御仁も多いであろう。

【暑い時に寒いと言い、寒い時には暑いと言う】

【苦しい時には笑う】

 などと戒め、政宗様の人格形成の礎を築いた虎哉禅師。

 この教えにより幾度かの死地を切り抜け、奥州の覇者となった伊達政宗様。

 プロ野球という厳しい世界においても、ときに見せる強情さが涌井投手自身の勝ちに、チームの勝利に繋がっていると存ずる。

 イーグルスへの入団会見時に申しておった「常にキャリアハイを狙っている」、その言葉通り、これまで見事な投球を見せつけている涌井投手。

 イーグルス投手陣トップの成績を残す現大将・プロ16年目右腕がときに見せる『強情さ』がチームの飛躍に今後も必要不可欠であろう。

 以後、

「暑くないのですか?」

 こう聞かれたら、

「暑くは御座らぬ。むしろ寒いくらいじゃ!」

 と答えようぞ。

 涌井投手が思い出させてくれた虎哉禅師の教えをおもてなしに活かすために……。

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