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ミュージシャンである自分からバファローズに一つ提案したい事がある

文春野球コラム ペナントレース2020

2020/09/05

 今年令和2年は本当に目紛しい。新型コロナウィルスが世界を席巻したのが春先で、夏にはもう戦後最長任期の安倍晋三内閣総理大臣が辞意を表明した。前後して、戦後最長とまでも言わないが現・NPBでは最長のリーグ優勝逃し記録を更新中の我らがオリックス・バファローズの西村徳文監督も辞任(辞任を要請されて受託 ※公式発表)。自分には政界の方の話はよく分からないのだが、我らがオリックス・バファローズは任期満了を待たずに指揮官が辞任(辞任を要請されて受託 ※公式発表)。こちらはオリックス・バファローズ誕生以降何人目だろうか。

 2008年のコリンズ氏から始まった上映中の政権交代劇は、西村徳文監督の辞任(辞任を要請されて受託 ※公式発表)で最高潮の盛り上がりを見せる。投手王国オリックス! あと1本がオリックス! 監督が途中辞任(辞任を要請されて受託 ※公式発表)のオリックス!! ぐぅ……。

 ただ悲観するなかれ。ご存知のように準備は万全だったようで、後任はまるで予定していたようにすんなりと、そして鮮やかに決まった。既に我らがオリックス・バファローズの監督代行は中嶋聡・前2軍監督が務める事となり、目下チーム再建に向けて日々奮闘中である。がんばろう中嶋オリックス。

中嶋監督代行 ©時事通信社

素晴らしいじゃないか中嶋イズム

 しかし。中嶋監督代行になってからまぁ、野球が面白い、面白くて仕方がない。「吉田正尚の打率を下回る勝率」が改善されたという点が一番大きいのだろうが、それ以上に選手の起用や試合後の会見の端々に中嶋イズムが溢れているように思える。それにまた、その中嶋イズムが素晴らしく清々しいのだ。「全員で戦う」とか「今日がダメでも信じている」とか、「先ずは1プレイ1プレイを全力で取り組む」とか。

 一国の首相が口にすれば、やや頼りない印象で憤りを助長させる事にしかならないような発言でも、低迷中の1野球チームの指揮官の発言なら話は別だ。現に首脳陣への采配批判はすっかり影を潜め、やや面白みの無いアダム・ジョーンズのヒーローインタビューにさえ皆うっとりと聴き入ってしまっている。必要なケースにしか実行しないバントに「またか」ではなく「決めてくれ」と心の中で呟くようになったし、やっと佐野皓大選手の魅力、類まれなる走力に誇りを持つようになった。

 素晴らしいじゃないか中嶋イズム。オリックスには久しく現れた「ふてこい顔」が頼もしい富山凌雅投手含め2軍から魅力的な選手を複数抜擢した事で、さんざん言われてきた「層が薄い」疑惑も「実はとんかつチェーンの衣のようなもので、薄い薄いと言いつつ案外しっかり付いていた」事も判明した。やはり素晴らしいじゃないか中嶋イズム。