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好成績なのに…失速する「フェイク学力」とは?

おおた 小学校のテストで何点とれれば中学受験に「参戦」できるか――というテーマもありますが、目安としては、ほとんど100点で、たまに80点をとるくらいでないと上位校を目指すのは厳しいというのは現実だと思います。

幕張メッセで行われる千葉の私立中入試。一度に数千人が受験する

安浪 80点とれないような子は中学受験をする資格がないかというと、それはちがうんじゃないの?というところもあると思いますけど。

おおた はい、その子の中学受験のあり方を理解してくれる人さえいれば、その子なりの中学受験の伸び方ができるはずです。

 中学受験するか、高校受験するかは、結果的にどちらが偏差値の高い高校に入れるのかという価値観に落とし込まれやすいけれど、「子どもに合った学校に入れればいい」という受験をするのであれば、どちらにしてもやり方はあると僕はとらえています。

安浪 子どもの学力が伸びる時期もまちまちで、4年生あたりは学力をはかるのが難しい時期ですからね。

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「うちの子、算数ができないんです」とG君のご両親に相談されたのは5年生の春。算数の偏差値は40でした。実際にG君を指導してみると、考え方の道筋を示されれば「あ、そういうことか」と自力で解き進めていき、「こういうふうにも考えられるよね」と別解をどんどん見つけ、自分の言葉で説明してくれます。「実際は60近いポテンシャルがある」という手ごたえどおり、最終的に難関校を受験するまでに至りました。

 一方、最難関校を目指しているMちゃんは5年生の終わり頃まで偏差値が60近くありましたが、解法を丸暗記して基礎が脆弱な、いわゆる「フェイク学力」。6年生の内容はどんどん高度になるし、暗記で太刀打ちできなくなるよとさんざん伝えましたが、勉強の仕方を変えないままどんどん成績が下がっていき、最終的に偏差値50台前半に落ち着きました。

おおた たぶんMちゃんは丸暗記の勉強法をするしかない子だったんでしょうね。Mちゃんは、中学受験で難関校に入るような学力をつける勉強スタイルには向いていない子だったんだろうなと思う。そういう個性をもともと持っていた。

安浪 真面目で黙々と勉強するタイプですね。

おおた そう、真面目だからこそ、一生懸命、目先の点数をとることをがんばって、それが裏目に出ちゃった。

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