昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

中学受験「フェイク学力」にご用心!偏差値60の6年生が50台前半に急落した理由は…親?

「丸暗記の勉強法をする子にも2種類います」

 中学受験勉強で努力が結果に結びつきやすい子どもと苦戦続きの子どもでは何が違う? そして小学校高学年で失速してしまう「フェイク学力」とは――? 最新刊『中学受験の親たちへ 子どもの「最高」を引き出すルール』(大和書房)の共著者、カリスマ家庭教師の安浪京子さんと教育ジャーナリストのおおたとしまささんが“ガチ議論”しました。

◆ ◆ ◆

中学受験には公文とそろばん、どっちが有効?

おおた 中学受験を前提として、基礎学力をつけるには公文かそろばんか――って昔からあるテーマですね。

 そろばんは、「そろばん道場」というように一種の「道」であって、勉強とはちがう集中力とか“ゾーンに入る経験”などが得られると思うんです。そこは、公文にはないそろばんの魅力であり神秘的な部分ですよね。

習い事として根強い人気のある「そろばん」 ©iStock.com

安浪 道場は「しつけ」てもくれますしね。

おおた 一方で、コロナ休校のようなときには、公文の良さが発揮されると思います。好き嫌いは当然あるけれど、一応、例題を見てマネして数をこなすという作業で進めることを前提にしているから。

安浪 1人でできますしね。私は、母親が公文の先生をしていたので「公文っ子」なんですよ。小4で高校教材を解いていたんですけど、そのせいで、いわゆる算数ができなくなったみたいで……。公文はパターン学習だから思考力がいらないんです。

おおた 公文は代数の計算問題をいかに効率よく解くかに特化してつくられたメソッドですからね。

安浪 だから私、「数量」の分野に弱いんです。数字はあくまで「数字」であって、「数」という量的概念を持たずにきたので、男子最難関校の数量分野の問題、今でも苦手なんですよ。

おおた へえ、きょうこ先生が、実は……。

安浪 今は何十年もやってきたから解けるんですけどね。

公文教育研究会が展開している学習塾「公文式教室」 ©共同通信社

おおた 以前、僕が公文の本を書いたとき、「3年生までにF教材(小学校6年生相当)」と書いたんです。というのも、F教材は分数と小数の四則計算なので、中学受験で有利な条件として働かせるのなら、塾に入る前までに、欲をいえば3年生までにという意味なんですが、どうでしょう?

安浪 3年生でF教材を終えるような子はそれなりに優秀です。そういった子は、公文があってもなくても上位校に入れる素養があり、そもそも「公文そろばん論争」は必要ないと思います。

おおた なるほど。

安浪 あと、計算はやらないと忘れるんです。今、教えている6年生の男の子は、1年生でG教材(中学1年生相当)まで進んでいたんですが、しばらく公文を休んでいる時期があって、5年生から私が中学受験算数を教え始めたら「通分」を忘れていました。計算も英会話と同じで、やらないと忘れてしまうんです。そういう意味では、早ければいいってものでもないですね。