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ライトノベルでは国語力は身につかない?

おおた 計算力と並ぶ基礎学力といえば、国語の「読解力」ですが、読書と読解は別だとよく言われますね。

安浪 「読書しないから、ウチの子、国語ができないんです」とみなさん言われますが、結局、国語で点数をとるのは読解技術だよ、という話なんですけどね。

おおた とはいえ、小さい頃から本を読むのが苦じゃない子は、テストで有利だろうなと思いますね。それは当然で、ペーパーテストが、印刷された活字を読んでそれに対して文字で解答する、紙の上でのコミュニケーションを前提としている以上、文字を読むことに慣れているのは有利。サッカーするうえで足が速いと有利になるのと同じくらいの、ベースの力としてね。

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教育ジャーナリストのおおたとしまささん ©佐藤克秋

安浪 たしかに、それはあると思います。ただし、読書といっても、国語の点数を上げたいなら何でも読めばいいってもんじゃない。入試に直結するのは、ライトノベルじゃなくて文学作品です。ライトノベルは登場人物が小学生や中学生が多く、自分の生活範囲と一緒だからわかりやすい。でも文学作品は、主人公がおじいちゃんだったり、時代設定が戦時中だったりして、やたら想像力を働かせないといけない。

 過去問や塾のテキスト、公文などの国語の教材がいいなと思うのは、自分で読むものを選べない、ということなんです。与えられたものを想像力を駆使して読むから、ありとあらゆるジャンルのものを読む訓練になっていくんです。過去問には、小説から随筆や詩まで、いろんな内容が載っていておもしろいですよね。

カリスマ家庭教師の安浪京子さん ©佐藤克秋

おおた 過去問集は本当におもしろいですね。ちょっと興味のある学校の過去問を読んでいて、「あっ、ここの学校の問題ってなんか楽しい」と子どもが感じられることは、かなり重要だと思います。いや、「楽しい」とまではいかなくても「あんまりイヤじゃないな」と感じられればいい。それは学校に入ってからも、その校風になじみやすいかどうかのリトマス試験紙的なものじゃないかと思います。

安浪 はい、それはありますね。「コロナ休校中、時間があるから、いろんな学校の過去問を解いて“相性”を見たほうがいいですか?」という質問がわりとあったんです。

 でも、1つ言わせてもらいたいのは、過去問を解いて、相性がよいか悪いかがわかるのは、ある程度の学力が完成する6年生の秋以降ということ。すごく行きたい学校があって、どうしてもそれより早い時期に過去問を見てみたいのであれば、国語の問題に親が目を通すこと。国語でどういう文章を出しているかで、その学校のスタンスがわかります。