文春オンライン

「中学からやり直せ!」19歳妹のSNSを発見、攻撃性が心配です――中野信子の人生相談

あなたのお悩み、脳が解決できるかも?

2020/10/06

 みなさまのお悩みに、脳科学者の中野信子さんがお答えします。

中野信子さん ©文藝春秋

◆ ◆ ◆

Q 妹(19歳)の攻撃性がシンパイです─30歳・シングル・会社員からの相談

 年の離れた妹のことです。私たちは二人姉妹で、両親は共働きのため二人で過ごす時間が長く、遊びも勉強も私が教えました。パソコンを教えたのも私です。妹はおとなしいタイプですが、今春、第一志望の薬科大学に入り、友だちもできて充実したキャンパスライフを送っています。

ADVERTISEMENT

 しかし先日、たまたまSNSへの書き込みの途中の画面を見てしまい、戦慄が走りました。ある大学生の質問者に「こんなこと質問するぐらいなら中学からやり直せ」「いやいや、小学校に戻れ」「Uはホントに日本人?」とか、汚いスラングまで使って攻撃しているんです。ハンドルネームがわかったので検索してみると、あっちこっちで相手をバカにするコメントを書きこんでいます。放っておいていいものでしょうか。妹の二面性についても心配です。

最新話は発売中の「週刊文春WOMAN 2020 秋号」にて掲載中

A おとなしいはずの妹がSNSで他人を中傷していると知れば、姉としては驚きもするし心配にもなりますよね。ティーンエージャーの振る舞いはその人の一生を支配するわけではないので、そのうちやめてしまうと思いますよ。

 それに、もし人の心の中を可視化できるとしたら、大のおとなたちもみんな「小学校からやり直せ」ぐらいの文句はブツブツ呟いているものです。他人に対してそんなふうに思っているということ自体は、それほど異様なことではありません。

 心配なのは、それをいとも容易くSNSに書いてしまうこと。それがまた容易く見つかってしまうことです。妹さんは「メタ認知」ができていないようです。「メタ認知」とは、自分の思考や情動を客観的に眺めることをいいます。自分を“斜め上から目線”で観察し、自分の行動について考えたり制御したりします。これは脳の内側前頭前野が行います。