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 最大の特徴は、従来のマンモグラフィーのような“痛み”を感じなくて済むようになった点。被験者は、 うつ伏せになって撮影するだけなので、苦痛なく検査を受けることができる。

 MRIやCTの撮影をするとき、被験者は検査台の上に“仰向け”の状態で横たわるのが一般的だ。しかし、仰向けで寝ると柔らかい乳房が安定しないので、正確な撮影ができない。そこでドゥイブス法では、“うつ伏せ”になって撮影をする。検査台には専用の器具が置かれてあり、そこには二つの穴が開いている。被験者はその穴に乳房を入れるようにしてうつ伏せになり、そのままMRIに入っていくのだ。

無痛MRI乳がん検診(ドゥイブス法) 高原医師提供

 仰向けだと安定しない乳房も、うつ伏せで、しかも台に空いた穴から下垂させた状態で静止すれば、撮影は可能だ。これにより、乳房の腫瘍を、痛みを感じることなく画像検査で見つけ出すことが可能になった。

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 じつはMRIを使った乳がん検査法は以前から存在した。しかしそれは、マンモグラフィーや乳房超音波検査で「要再検査」となり、再検査でもさらにがんの存在が疑われた時に行われる“奥の手”だったのだ。がんが強く疑われるケースでの検査なので、造影剤を使ったMRI撮影となる。当然そこにはそれなりのリスクを伴うことになるのだが、ドゥイブス法では造影剤は使わない。つまり“奥の手”の検査の安全性を高めて、初期検査に利用しようと考えたわけだ。

“恥ずかしさ”も感じることなく撮影が可能

「エックス線ではないので放射線被ばくの危険性はないし、造影剤も使わないので安全性は高い。何より乳腺の多い高濃度乳房でも鮮明な画像が得られるので、“見落とし”のリスクが大幅に下がります」

 ドゥイブス法の利点はそれだけではない。

「乳がん検診を受けない人を対象としたアンケート調査があります。受診しない理由の第1位は「忙しいから」、2位は「痛いから」、そして3位は「(裸を)見られることが恥ずかしいから」という答えでした。従来の検査法はいずれも、被験者は上半身は服を脱がなければ受けられないものでしたが、ドゥイブス法はTシャツを着たままで撮影が可能です。“痛み”だけでなく“恥ずかしさ”も感じることなく撮影が可能なので、乳がん検診のハードルを大幅に下げることができるのです」

 過去に乳がんの手術や豊胸手術でインプラント(シリコン製の人工物)を入れている人は「圧迫」による損傷の危険性があるのでマンモグラフィーはできないとされてきたが、ドゥイブス法なら撮影可能だ。