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公文書改ざん発覚も退陣のタイミングだったかもしれない

 実はこの週は「森友自殺〈財務省〉職員遺書全文公開『すべて佐川局長の指示です』」(「週刊文春」3月26日号)という大スクープが注目されていた。

安倍昭恵氏 ©文藝春秋

 自死した財務省近畿財務局管財部の上席国有財産管理官・赤木俊夫さんが遺したメモには《改ざんは財務局が勝手にしたのではなく、本省からの指示があった。佐川(元理財局長)の指示で書き換えた》という情報があると。

 首相サイドはこのスクープについて言及されるのが嫌で会見をしなかったのでは? というのだ。

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 まさかと思ったが、

《政権幹部は「記者会見だと、コロナと関係ないことも聞かれる。対策本部会合で語ればいい」と、記者会見なしの背景に「森友」問題があることを示唆した。》(東京新聞・同)

 政権幹部が言っていたのである。示唆された通りならコロナより森友問題へのツッコミが嫌で情報発信をしなかったことになる。

©JMPA

 安倍首相は28日の会見で、辞任するのは「このタイミングしかない」と述べたが公文書改ざんが発覚したときも退陣するタイミングだったのかもしれない。

私が考えるアベノマスクの正体

 自死した赤木俊夫さんは「内閣が吹っ飛ぶようなことを命じられた」と妻の雅子さんに言っていたという。本来なら吹っ飛ぶようなことをスルーして今日まで政権は引き続いてきた。その結果どうなったか。

佐川宣寿氏の証人喚問 ©文藝春秋

 問題が次々浮上しても安倍首相も周囲も「小さいことだ」という姿勢で済ませてきた。平時にそうやって押し通してきたことが、コロナ禍ではさらに内を向き、官邸と世の中のズレを生んだのではないか。私が考えるアベノマスクの正体である。

 読売が指摘したように「仁王立ち」で国民を守ろうとする姿勢は失われた。何かにおびえ、正面から向き合おうとしない態度が随所に現れた。悲しいことにウイルスは忖度などしてくれない。

 大きな転換点は2018年3月。森友学園を巡る財務省による公文書改ざんが発覚したときだったとつくづく思う。コロナ対応にまでつながってしまったのである。