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安倍政権で記憶に残る「言葉の言い換え」は……

 さて安倍政権で記憶に残る言葉のひとつをあげておきたい。

 1月28日の衆院予算委で桜を見る会の参加者増加について「幅広く募っている、募集していることをいつから知っていたのか」と質問された安倍首相は「私は幅広く募っているという認識だった。募集しているという認識ではなかった」と答えた。

 するとツイッターには「#募ってはいるが募集はしていない」というハッシュタグが登場して大喜利化。

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 言葉の言い換えもこの政権の特徴だった。

「桜を見る会」 ©文藝春秋

 そういえば「書き換えだけど改ざんじゃない」という日刊スポーツの見出し(2018年5月30日)もあった。

 この見出しの元ネタは「さよならだけどさよならじゃない」(1991年・やまだかつてないWink)である。「募ってはいるが募集はしていない」の元祖にも思える。

安倍後継は「#募ってはいるが募集はしていない」

 実はその動きは今も続いている。

 印象的だったのは「安倍首相後継 石破氏外し」(日刊スポーツ8月29日)という見出し。

《後任を選ぶ自民党総裁選は党員・党友による投票を省略した形で、行われる見通し。国民的人気が高い石破茂元幹事長(63)を警戒した「石破つぶし」との見方もある。》

 国会を閉じ、首相会見もそんなにやっていなかった。それならじっくりと党員票も含めた総裁選もできるはずだがコロナ対応があるから早くしたほうがいいという「大義」らしい。ここでも姑息さがチラチラみえる。

「令和おじさん」として人気を博した ©文藝春秋

 こうなると各世論調査でトップの石破氏は不利になり、しれっと菅官房長官などが後継になる可能性もある。つまり安倍1強の枠組みがこのまま続くなら安倍首相は辞めても「さよならだけどさよならじゃない」のだ。

 つまり安倍後継は「#募ってはいるが募集はしていない」のである。