お父さん(光石研)との初共演シーン。現場では……
――梅の登場シーンのなかでは、やはりお父さん(光石研)があの世から帰ってきた、という回が非常に印象的でした。
森 ありがとうございます。
――光石さんのビジュアルも強烈でしたね。
森 おでこに三角を付けて帰ってくるんですよね。現場でも、光石さんはすごくいじられていて、面白かったです(笑)。「僕もこんなふうに登場するなんて思ってなかったよ」と仰っていて、写真を撮るときも「心霊写真だ、心霊写真だ」って盛り上がってました。
――現場もざわついていたんですね(笑)。その回では、お父さんと梅との距離感が本当に絶妙だな、と思ったんですが、考えてみれば『エール』の中で森さんと光石さんが共演するのは、あのシーンが初めてだったんですよね。
森 そうなんです。ちせちゃん(新津ちせ)が演じていた子役時代に、お父さんは亡くなっていたので。ただ、『エール』の撮影に入る前に、8月公開の映画『青くて痛くて脆い』を撮っていて、そこで光石さんとはご一緒させてもらっていたんです。その作品では共演シーンが一番多くて、体当たりする場面もあったんです。だから『エール』では、そのときの密着感みたいなものも、うまく活かせたのかなと思っています。
新津ちせちゃんとの“意外なつながり”
――いま、お話にでてきた新津ちせちゃんですが、森さんがヒロインの声を演じた映画『天気の子』の、新海誠監督の娘さんですよね。今回、ちせちゃんが森さんの子役時代を演じると知ったときは、どう思われましたか。
森 びっくりしましたし、鳥肌が立ちましたね。ちせちゃんとは何回か会ったことがあって、一緒に遊んだりもしていたんですよ。そんなときに、タイムリーに同じ役を演じるということになって。ちせちゃんはすごく賢いし、お芝居もたくさん観ていて、すてきな方なので。しかも、顔もちょっと似ているんですよ。
――そっくりでした。特に眼鏡があることで、より似て見えました。
森 そうですよね。今回は、現場で会う機会はなかったんですが、きっと思っていることは一緒なんじゃないかな、という気持ちがあったので、安心して演じられました。
――もともとちせちゃんとお会いになったのは、どのような機会に?
森 お仕事の忘年会で、ばったり会ったり……。でも、それが大人たちの会だったから、私たちは連れてこられた2人みたいになってしまって(笑)。それで隅っこの方で一緒に遊んだりして、仲良くなりました。
――そんな偶然もあったんですね。ちなみに朝ドラの脚本は、最初から完成しているわけではなく、撮影しながら徐々に渡されていく、というやり方なんでしょうか。