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元楽天投手・片山博視の「打者として譲れないもの」

文春野球コラム フレッシュオールスター2020

2020/08/31
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 ギラギラした闘志を剥き出しにして、チームメイトに闘いを挑む「鬼軍曹」。

「BCリーガーは、もっと自分を出してガツガツして欲しい。毎日試合に出て、3割打って満足してるようじゃ駄目。もっと何かを見せよう、もっとここを伸ばそうというのがないと。ドラフトにかかる選手はやっぱり何か特化してます。足が無茶苦茶速いとか、球が滅茶苦茶速いとか。そこをどれだけ伸ばせるかなんです」

 埼玉武蔵からは、昨年松岡洸希(西武3位)、加藤壮太(巨人育成2位)というNPBドラフト指名選手が生まれた。いずれも自分の球や、足、バッティングという売りを強化し、急激な成長を示して指名を勝ち取ったのだ。

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©HISATO

兼任コーチの仕事をしていて嬉しい瞬間

 兼任コーチの仕事をしていて嬉しいのは、「選手を見てきて予想外のプレーをしたとき」だと言う。

 例えば誰のどんなプレーなのか。

「去年投げるだけに集中して、たくさん打たれた投手が、今年すごく打者を見られるようになった。話していても『こういう感じで打ってますよね』『こういう感じで抑えようと思うんですけど』とか。すごくレベルが上がった話が出来るようになると、それがとても嬉しいです」

 そういう「意識」がとても大事なのだと片山は強調する。

 自身も勝負強い打者だが、勝負強さを作るのは冷静な俯瞰だと話す。それが勝負勘であり「野球勘」だ。

「その状況で、自分が何をしなきゃいけないか冷静に判断できる、客観的な自分を持つことです。僕は楽天に入って最初は野村監督、次に星野監督、大久保監督に教わった。野村監督は緻密なデータ野球。でも星野さんはどちらかというと気持ちの面。だから負けられない! 何くそ!という気持ちも出す。僕にとって勝負強さっていうのは、色んな方との出会いがすごく大きかった。それをみんなにいかに伝えるかですね」

 今年33歳。楽天の同期入団では銀次がいる。

「刺激になりますよ。場所は違うけどあいつらより絶対長くやってやる!と思ってます。銀次には頑張ってもらわないと、僕らの世代が弱いと思われる。上(ダルビッシュ有ら)と下(田中将大ら)がすごいので。若手が出てきて難しい年齢だと思うけど、何とか頑張ってもらいたいです」

 大卒で入団した青山浩二、現在ヤクルトスワローズで活躍する井野卓も4つ上の同期だ。

「井野さんヒーローになっててびっくりしました!(笑)僕の初勝利、捕手が井野さんだったんですよ。だからすごく応援してます」

 元MLB田澤純一も加わった。埼玉武蔵はどこまでレベルを上げられるか注目したい。

 身体も打撃も規格外の片山博視。明るさとパワーがチームを盛り上げ、人を惹きつける。闘う「鬼軍曹」にして「名参謀」。片山の育てる「闘うチーム」が楽しみだ。

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