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ライオンズ川越誠司と「青雲」との不思議な縁……日本香堂に聞いてみた

文春野球コラム フレッシュオールスター2020

2020/08/31
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気になるコラボ展開の可能性は?

 さらに不思議な作用としては、川越の打席で「青雲の歌」が流れ終わると必ず拍手が起こる、というものがある。これはいったいなぜだろう?

「前述の回答と重複しますが、まずは昔から耳慣れたCMソングが登場曲として流れるという意外性・サプライズ感と共に、何よりも川越選手の気迫あふれるプレイの奥に透かし見える『青雲の志』、その爽やかな一途さに多くのファンが共感されて、声援に代えて拍手でのエールを送られているのではないでしょうか」

 プロ入り前から打者として複数の球団より高評価を得ていた川越。しかし本人は投手に拘り、投手として評価してくれた西武に入団する。そこまで強い思い入れのあった投手の道を断念し、打者として生きることを決めた川越の一途な決意は、多くのファンが魅入られ応援するところだ。しかしながら、「全打席で必ず拍手が起こる」なんて、相当に徳を積まねば達せられることではない。こんなにも得難い現象が起こるのは、やはり「青雲の歌」そのものに人の心を動かす作用があるからではないか。

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 と、いうようなことをライオンズファンの知り合いに話してみた。

 彼女の返事は「『青雲の歌』はテンポがゆっくりで、リズムに合わせて手拍子しづらい。曲がいい感じに終わるので、最後に拍手するのが一番気持ちを表現しやすいのでは」だった。

 技術的問題。「徳」というより「テク」。それはそれでまた一理だろうか。

 最後に、気になるコラボ展開について聞いてみた。

「私共にとって僥倖とも申すべき今回の不思議なご縁ですが、それを“商機”とばかりに拙速に“ノリ”で動くような失礼は慎むべきと弁えますし、またコロナ禍の先行きが見えず弊社も機敏な対応がしづらい現状にあり、もう少し時間をかけて折角のご縁を育んでいけたら、と願う次第です」

 青雲Tシャツ、青雲タオル、青雲フラッグなどなど、コラボグッズの登場を心待ちにしていたファンには残念な知らせである。しかし、現在が何かと動きにくい時勢であることは確か。ライオンズファンの応援は、そのチームカラーから「青炎(せいえん)」と呼ばれるが、いつか世の中が落ち着いた折には、青い炎から青い雲が立ち上るごとく、川越選手と日本香堂との幸せなコラボが実現することを心から願いたい。

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