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菅さんの「3無し」は韓国人好み

――「ポスト安倍」候補については、韓国ではどのように論じられていますか。

 岸田文雄、石破茂、菅義偉の三氏については、日本での批評を紹介しながら記事を作っています。最初に「菅氏の急浮上」を報道した朝鮮日報(8月31日付)の外信面トップでは「菅特集」が組まれていて、来歴などが紹介されていました。

 菅さんは官房長官ですから、韓国でも会見の様子などで顔と名前はよく知られているけど、リーダーとしては意識されていなかった。面白いのは、見出しが「3無しのリーダーシップ」。要するに、「派閥無し」「学閥無し」「家柄無し」。韓国国民の情緒でいえば「親近感が持てるタイプ」という意味ですね。

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菅氏は「朝鮮日報」電子版(8月30日)でも紹介された

――黒田さんご自身は、安倍首相の辞任で日韓関係が変化すると思いますか?

 韓国メディアは就任以来、安倍首相は「極右反韓」だと叩き続けてきました。「日韓関係の悪化は安倍のせいだ」というロジックをずっと使ってきたのです。そのため、基本的には「悪役つまり安倍がいなくなれば誰が後任に就いてもプラスに働く」ということになる。政府当局者や財界人を含めて各界には漠然とした関係改善への期待感が漂っているのはそのせいです。

 意外だったのは安倍首相の辞任表明の際に、青瓦台(韓国大統領官邸)の声明がとても早く出たこと。あれだけずっと「安倍がけしからん」といっていたのに、「突然の辞任発表を残念に思う」「早期の健康回復を祈る」「新しい内閣とも友好関係の強化に向けて、引き続き協力していく」とコメントを出した。

「新しい内閣“とも”」と述べていましたが、「そもそも韓国は安倍内閣との関係改善の努力をしてなかったのに」と笑ってしまいました。それはともかく、韓国政府がすぐに「新しい内閣」と言い出したことは、これを機会に何か変化の意思があるのではないかという解釈は出来ると思います。悪化はこれ以上しないのではないか、というのが現場の感覚です。