この1週間の報道を見ていると「たたき上げ」とか「パンケーキ好き」とか庶民的なフレーズがたくさん出ていた。菅義偉官房長官のことである。

 たとえばこれ。

『パンケーキ食べ歩き「かたい」イメージ一転…スポーツ紙の記者が見た』(スポーツ報知WEB9月4日)

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 菅氏のスポーツ7紙合同インタビューを取材した記者の報告だ。

菅義偉官房長官(2019年撮影) ©️文藝春秋

パンケーキより気になる、自民議員が食う「冷や飯」

《首相の側近としての菅氏は発言、表情、雰囲気、どれを取っても「かたい」イメージだったが、この日の合同インタビューで一変した。》

《自身の好物パンケーキについて「店を渡り歩いていますよ」と目尻を下げながら明かす。(略)ポスト安倍の大本命として話題の人だが、気さくな人柄を垣間見た。》

 記者は「気さく」と書いているが菅氏からすればそう報じてもらうのが狙いだろう。チョロいインタビューだったに違いない。

 パンケーキより気になるのはこっちだ。

『自民議員、冷や飯恐れ雪崩』(朝日新聞デジタル9月3日)。

《霞が関では「菅さんににらまれたら出世できない」と公然と語られるほどだ。閣僚経験者は「みんな菅政権になったときの『冷や飯』を恐れている」と話す。》

2020年撮影 ©️文藝春秋

 パンケーキより冷や飯。こちらのほうが興味あります。冷や飯の“具体的なメニュー”としては

・「ふるさと納税」をめぐって、寄付の限度額の引き上げを主張する菅氏に、高所得者の寄付額を制限するよう提案した担当局長が、「出世コース」から外された。

・菅氏の持論だった農協改革に絡む協力依頼を断った金融庁長官は、1年で交代。

・今回の菅氏支持への雪崩現象には「人事が怖くてまとまったのだろう」(菅氏を支持する派閥の閣僚経験者)というコメントも(朝日9月4日)。

 パンケーキより冷や飯を食わせる説。これらの源には「内閣人事局」があるのだろう。