世界の大学の最新のランキングをイギリスの専門誌が発表。1位が5年連続でイギリスのオックスフォード大学、2位がアメリカのスタンフォード大学、3位がハーバード大学で、上位13校までを米英の大学が占めました。
アジアの大学の中では中国の清華大学(20位) が最高で、北京大学(23位)、シンガポール国立大学(25位)と続きます。日本の東京大学はようやく36位に登場します。その他、シンガポールの南洋理工大学(47位)、日本の京都大学(54位)などが100位以内にランクインしています。なぜ、日本最高峰の東大や京大より、中国やシンガポールの大学の方が上位に食い込んでいるのでしょうか。
https://www.timeshighereducation.com/world-university-rankings/2021/world-ranking#!/page/0/length/25/sort_by/rank/sort_order/asc/cols/stats
英語での評価と大学の資金力の差
イギリスの教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」は、研究内容や論文の引用回数などの指標をもとに、毎年、世界の大学のランキングを発表しています。93か国の1,500以上の大学を対象にランキング化し、教育、研究、被引用論文、国際性、産業界からの収入の5分野にわたり、13項目についてデータを収集し、総合力を評価・分析をしています。上位200校に入る日本の大学は、6年連続して東京大学と京都大学の2校にとどまっています。
他方で人口約560万人のシンガポールの大学がなぜ2つも100位以内にランクインしているのでしょうか。シンガポールは大学進学率は40%以下と限られた人しか大学に行くことができません。シンガポールは大学の数が少なく、飛び抜けて優秀な学生は欧米の有名大学に行き、それ以外の成績上位者が国立大学に行き、その他は周辺国の大学に行くか専門学校に進学することになります。
シンガポールの建国の父、リー・クアンユーの考え方に「人間は才能ある者とない者に分かれ、政府の仕事はそれを早く見極めることにある」というものがあり、成績の悪いものにこれ以上の教育は無駄とされ、それよりも専門性を磨いて別の分野で自立をさせるなど効率が重要視されます。日本のように誰もが大学に行くのではなく、競争に勝ち抜いた限られたエリートが大学に進学をするのです。
また、評価をしているのは英国の専門誌です。当然、英語でどれくらい研究成果が出ているか、研究内容や論文の引用回数などを元に評価されるので日本語で授業が行われる日本の大学には不利と言えます。
大学の資金力も大きな問題です。日本は財政難から教育など政策投資に投じられる予算は削られる一方です。シンガポールは基本的に財政黒字で準備金の蓄えがあります。今回、中国の大学の研究による収入の中央値が初めてアメリカの大学を上回り、専門家は「新型コロナウイルスの影響で、アメリカの大学の収入が落ち込み、米中の大学の差が縮まるきっかけになるかもしれない」と指摘しているようです。中国からは去年と同じ7校が上位200校に入り、ほとんどが順位を上げています。