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敵対感情が国家危機の根源
大法院の判事たちが作成した判決文にも、同じ証拠を見つけることができます。彼らは「日帝の朝鮮統治は不法だ」としています。判決文はその点を大前提にしています。しかし、日帝のその“不法行為”によって、彼らに判事の法服を着せる今日のような近代化された司法制度が成立しました。大法院の判事たちがこのような矛盾を認知できないのは、彼らもまたこの国の司法制度の歴史についての理解が欠如しているからであり、あの判決文はそのことを暴露しています。彼らには、近代文明の根本要素と言える個人、自由、私権、市場に対する信念がありません。成長と出世の過程でそのような教育を受けたり、心の深層に届く読書をしたりする機会がなかったように見受けられます。彼らの法知識の底に流れているのは、没歴史の機能主義だけです。
その認識の空白を、いつからか低級な歴史意識が埋め尽くし始めました。「公は尊く、私(し)は賤しい」という、朝鮮性理学が見せる個人と私権に対する反感、まさにそれでした。朝鮮王朝を敗亡させた、祖先から受け継いだ負の精神遺産でした。現実的には、自由より正義を重視する法実定主義であり、個人より社会を優先する全体主義であり、対外的には不変の敵対感情を基礎に置く、まさに反日種族主義です。それが今日、この国の司法部を支配する時代精神として、国家危機の根源を成しているのです。