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2020/09/13

 ところが池田は「寛容と忍耐」をスローガンにして低姿勢を演出、4カ月後に解散し衆院選で大勝するや、翌年の大幅改造で自前の「実力者内閣」を作る。身上の所得倍増政策を全面展開し、昭和の東京五輪の開会式を見届けて病気退陣するまで4年の本格政権へと自らを飛翔させたのである。

 従って、現時点でいくら菅首相が「安倍政治の継承」をうたい、仮に最初の組閣が小幅の修正に終わったとしても、そうそう簡単に「安倍亜流政権」だと決め付けない方が良いと、歴史は忠告してくれる。

解散はコロナ終息後か?

 もうひとつ、菅氏には、衆院解散に対して慎重居士だった過去が引き合いに出されることが多い。2008年に当時の麻生太郎首相が就任直後の国会で「冒頭解散」を断行しようとした際、党選対副委員長として党独自の世論調査の数字が振るわぬことを挙げて翻意させようとした。ほんの少し前、麻生副総理兼財務相が安倍首相に「9月解散」を持ちかけた際も、菅官房長官は慎重姿勢を変えなかった。

 だがそれも、彼は昔の彼ならず、かもしれない。

 解散について聞かれたテレビ番組での菅氏の答えが何とも味わい深い。案外、嘘を言えない首相になるのではないか。

©文藝春秋

 3日には慎重姿勢が少し変じて「状況次第だ。新型コロナウイルス感染が終焉を告げられるかどうかだろう」と言った。

 さらに5日には「私は官房長官の会見でよく、安倍総理がいつ解散するかと聞かれたときに、解散というのは総理が解散するといえば解散、しなければしない、それ以上でもそれ以下でもないと申し上げてきてます」と言った。

 つまり、感染が終息すれば解散する、これまでと首相としての自分とでは解散を判断する立場が違う、と言っているのに等しい。

 後藤記者を気取ればこうなるだろうか。

「最初から決まっている解散なんてありえない。選択肢を広げ、民意を見極め、やれるならやる。それが出来ない人は首相になる前につぶれている」

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出典:「文藝春秋」10月号

 曽我豪氏(朝日新聞編集委員)による政局の分析の詳細は「文藝春秋」10月号および「文藝春秋digital」掲載の「安倍『歴代最長政権』コロナに敗れる」をご覧ください。

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