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深刻な“西高東低現象” コロナ禍の飲食店が生き残る道とは…

2020/09/22

genre : ニュース, 社会

コロナ禍で会食は一切禁止

 なんだかどんよりした気分になった私は

『でも女将さん、このカツオの刺身、相変わらず絶品だよ。さすがだね。こんな旨い魚出すあなたの店、大丈夫潰れないよ』

 と慰めると、女将さん

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『それはね、牧野さんが予約してくれたからですよ。魚はナマモノなので、こんなにお客さん減ってしまったらちゃんとした仕入れができないの』

©️iStock.com

 数日後、仲の良い知人と久しぶりに会うことになり、美食家の彼を唸らせてやろうと、八重洲の名店にお連れした。この店も独自の創作料理で一世を風靡した店。なかなか予約が取れないことでも有名だ。

 ところがこの店も、ついに入店から退店まで客は私たちひと組だけに終わった。価格帯は普通に食事して一人あたり1万円台後半くらい。接待需要でもってきた店だ。店長の喋りもメニューのひとつとしてきたこの店。その夜は結局、店長の料理に対する素晴らしい知見の数々まで堪能することになったのはいうまでもない。

 私は小さな会社を経営していて、上場会社のお客様も多数いらっしゃるが、コロナ禍では会食は一切禁止のところが大半だ。一般従業員はもとより、役員も全て会食禁止となっている。仲の良い会社役員にこっそり打診しても

『まずいんだよ。個人的にはどうかと思うのだけど、万一感染でもしようものなら、役員クビになるかもしれないからね、ごめん!』

©️iStock.com

 それでもビジネスの打ち合わせには会食も必要だ。全てがオンライン上でできるなんていうのは絵空事だと、経営者や役員の方々が知らないわけではない。そこで最近流行っているのが、午後4時くらいから、割烹料理屋を開けてもらい、6時に終了していったん会社に戻るなどという冗談のような会食も行われていると聞く。