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「現場の声が届かない…」菅義偉首相は安倍政権の“遅すぎるコロナ対応”まで継承するのか?

全国の知事たちの“叫び”が浮き彫りにするもの

2020/09/18

 しびれを切らした地方では、鳥取県が8月下旬に独自のクラスター対策条例を可決させ、9月に入ると東京都も、感染者に、医療機関や宿泊施設、自宅で療養し、「みだりに外出しない」との努力義務を課す内容の条例改正案を発表した。

 それにしても、安倍政権はなぜこんなに遅かったのか。

「縦割りの打破」を掲げるなら……

 同情するところもある、と述べる平井はその理由を「縦割りや省庁のしがらみが壁になっている」と分析する。

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 平井は総務省出身で現在4期目。初当選まもない09年には、新型インフルエンザの流行とも向き合った経験を持つ。

「コロナ禍のような危機になると省庁をまたぐ案件となり、途端に省庁間で綱引きが始まる。今回は内閣官房が隔離の必要性について理解しても、厚労省はハンセン病の反省からか隔離について神経質で罰則に慎重になっています」

 意思決定にはスピードが必要だが、もちろん場当たり的なトップダウンでなく、ルールが必要だ。そのあたりに焦点をあてて、平井は続ける。

「もちろん、縦割りが機能する局面もあるが、危機の局面ではどうでしょう。CDCのような専門組織を置いてその判断に従うというようなルールが日本には確立されていない。それが今回、政府の対応が後手に回った感がある原因ではないでしょうか」

 河野太郎行革相による「縦割り110番」設置が話題だが、なんてことはない。菅政権が最優先課題と掲げる新型コロナ対策のど真ん中で、縦割りの弊害はむき出しで存在しているのだ。

 新しい政権に求められる新型コロナ対策はどのようなものか。私は「文藝春秋」編集部の取材班とともに、全国で累計の感染者数が1000人を超えたり、対応が注目されたりした知事たち16人に、Go Toトラベル、アベノマスク、国の政策に欠けているもの……といった質問を投げかけ、鳥取県の平井知事や愛知県の大村秀章知事をはじめ7人の知事から回答を得た。

出典:「文藝春秋」10月号

「文藝春秋10月号」および「文藝春秋 電子版」にその回答を網羅し「国に振り回される『知事たちの叫び』」と題した記事を寄せた。そこに、菅政権が現場と手を携えて取り組むべき改善点は明確に示されている。

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国に振り回される「知事たちの叫び」
「現場の声が届かない…」菅義偉首相は安倍政権の“遅すぎるコロナ対応”まで継承するのか?

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