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 この指定暴力団幹部らが指摘するとおり、池田組は不満を募らせることとなり、山健組に先立って、今年7月に神戸山口組を離脱することになった。

池田組が神戸山口組から離脱することを表明したとされる書面

 離脱後は、2017年4月に神戸山口組を離脱した「絆会」と合流する可能性が関係者の間では指摘されている。池田組と絆会との間では今後の活動について断続的に協議の場が持たれているという。

山健組と6代目山口組の今後は?

 神戸山口組から離脱した“名門”とされる山健組。今後、山口組分裂抗争の中で、どのような立場に置かれることになるのか。6代目山口組との関係はどうなるのか。

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 紐解くヒントは「処分」にある。暴力団業界では「破門」は場合によっては復帰を許されることもある処分だが、「絶縁」は永久追放を意味する。絶縁者と縁を持つことは、処分を下した組織への敵対行為ともみなされ、業界では絶縁状を通知することで交流を持たないよう注意喚起する意味もある。

 5年前の2015年8月、6代目山口組は、離脱した山健組など13組織のうち、当時の山健組組長の井上邦雄、池田組組長の池田孝志ら5人を最も重い処分の「絶縁」としていた。

 ただ、6代目側が「絶縁」処分としたのは当時山健組組長だった井上であって、山健組全体を処分した訳ではない。このため、今回独立した現・山健組組長の中田は、6代目山口組としては処分対象外といった理屈が成り立つ。

 6代目山口組は、山一抗争で暗殺された4代目組長、竹中正久の出身組織である竹中組を復活させるなど、“ブランド”を組織内に残そうとしている。

 山健組は、組を全国に拡張した3代目組長の田岡一雄を支え続けたナンバー2、山本健一が創設した組織だ。このため、警察庁幹部の中には「6代目には、山健の名を惜しみ山口組に復活させたいという意向があるだろう」と口にする人もいる。

 さらに6代目山口組組長の司忍は、山口組分裂後、離脱グループについて「若い衆に罪はない」といった意向を表明している。暴力団組織だから親分が上部団体から出ていくと言えば付き従うことになる。この司のメッセージには、6代目山口組に戻りたい若い衆は受け入れるという意味が込められているとされる。

 警察当局によると、当然のことながら6代目山口組若頭の高山清司も司と同じ意向だという。独立した山健組組長の中田は、ここで言うところの「罪のない若い衆」ということになる。

6代目山口組の高山清司若頭 ©️共同通信社

 ただ、中田が勾留中なのは、2019年8月に6代目山口組の中核組織である弘道会系組員を銃撃し重傷を負わす事件を引き起こしたからだ。6代目山口組としても、いきなり「歓迎」という訳にはいかない。そのため当面は、山健組も独立組織として活動を続けるとみられる。

 6代目山口組と神戸山口組、そして絆会、さらに独立を宣言した山健組。国内最大の暴力団組織の分裂騒動は5年を経過してなお混迷を深めており、事態収束の道筋は見いだせていない。(敬称略)