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「ショート2万、朝まで4万。置屋ではママが…」“ヤバい島”の実態を元ヤクザが赤裸々証言

『売春島 「最後の桃源郷」渡鹿野島ルポ』#2

2020/09/20

女を惚れさせ、「俺のために島に行ってくれ」

 Xは女を惚れさせ、「俺のために島に行ってくれ」と背中を押した。女は「Xのためなら」と、島での売春を了承。女は売り飛ばされ、置屋からはその対価として200万円ものバンス(前借り金)が支払われた。仲介した組員に10%を支払ったものの、労せず180万もの大金が懐に転がり込んできた。

「これはシノギになると思って、方々でナンパした女を立て続けに3人、島に送り込み、瞬時に600万ほど儲かった。それからのべ30人以上は入れたかな。バンスに加え、女には貯金させ毎月、私の口座に振り込ませていた。だからバンス分に加え1人平均5万円の実入りがあった。もうウハウハだよね」

島にあった客引きに注意を呼びかける看板(著者提供)

 Xによればこの“売春島”、以前は漁師の船着き場として栄え、元々は女を買う島ではなかったという。

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「当時の漁師は裕福で、そこに女を宛てがったらどうなるか……。それでA組が島を仕切り、売春婦を入れこんだのがこの島の始まりだと聞いているよ」

 名古屋から近鉄列車に2時間ほど乗り、終点前の鵜方駅で下車。ここから的矢湾に向かって車で15分ほど走ると渡鹿野渡船場が見えてくる。ピストン運行を繰り返すポンポン船(小型船)に乗り、ものの3分もすれば“売春島”だ。

「売春島」と呼ばれた渡鹿野島(著者提供)

 メインストリートを中心に点在する、一部のパブやスナックが女を買える売春置屋だが、それ以外の民宿、ホテル、喫茶店、居酒屋などでも女を紹介してくれる。女は日本人に加えタイ、フィリピンなど東南アジア系の出稼ぎ売春婦たち。料金はショート(60分)が2万円、朝まで(夜11時から朝6時まで)過ごせるロングが4万円だ。