『老~い、どん! あなたにも「ヨタヘロ期」がやってくる』(樋口恵子 著)婦人之友社

 NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」理事長を務め、評論家として執筆、講演を旺盛に行っている88歳の著者。そんな著者だが、身体の不調をはじめとする自身の苦労を踏まえ、健康寿命と平均寿命の間の約10年を〈ヨタへロ期〉と呼ぶことを提案。そして、今〈ヨタへロ期〉にある人たちは、人生100年時代を生きる最初の世代として自分の、そして後続世代のために、社会を変える必要があると訴える。

「著者は〈ヨタへロ期〉という言葉を広めることで、みなさんと一緒に老いの幸せの条件を考えたいそうです。そのために、これまでの著書とはタッチを変えて、弊社の読者に向けた手紙のように、ご自身の日常を綴られました。そうした工夫から来る共感性の高さが、好評の理由ではないかと感じています」(担当編集者の小幡麻子さん)

 お金の悩みや体調の変化、夫婦関係の悩みなど生活に密着した話題が多岐に渡る。そのどれもが、あるべき社会像の議論へ繋がっていく。

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「樋口さんはユーモラスでチャーミング。社会派としての豊富なご経験に、膨大なデータがインプットされているので表現が的確。共感だけではなく、読者の意識が広がるようです」(小幡さん)

 主な読者は70代から80代の女性だが、本書を元にした講演には多くの男性客の姿も。夫婦で愛読されているようだ。

2019年12月発売。初版5000部。現在10刷7万5000部