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現実路線より喧嘩路線 韓国政府が菅総理の「倍返し」を恐れるワケ

2020/09/23
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ポイント3:朝鮮半島政策への厳しい姿勢 

 菅氏の特質は、日韓関係にも影響するだろうと見られている。 

 日韓関係のなかで外務省や官僚が玉虫色、曖昧にしてきた課題は数多い。韓国に対して折れる、というシーンも多かった。 

「日本が折れてくるから、韓国サイドは何度も慰安婦問題や徴用工問題を蒸し返してくるという状況が続いています。実際に慰安婦合意についても、文在寅政権のもと事実上の“破棄状態”が続いています。こうした曖昧な状況について、菅総理が果たしてどう対応するのかに注目が集まっています」(前出・外交ジャーナリススト) 

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ナヌムの家の入居者たち ©時事通信社

 菅氏は、もともと自民党の対北朝鮮経済制裁シミュレーションチームの座長を務め、様々な対策を主導してきた政治家だった。 

「菅氏が特に力を入れていたのが、北朝鮮が核実験を行った場合の対応策でした。国連安全保障理事会の経済制裁決議がなくても、北朝鮮船舶の日本への全面的な入港禁止などの経済制裁措置をただちに発動することなどを、積極的に提唱していました」(前出・政治部記者) 

 2013年、韓国・海空軍と海洋警察が島根県・竹島で防衛訓練を実施したことに関し、菅官房長官(当時)は「わが国の立場から受け入れられず極めて遺憾だ」と述べた。菅氏は直ちに外務省官僚を呼びつけ、「竹島は歴史的にも国際法上も、わが国固有の領土だ」と憤りを見せたといわれている。 

「このときも、『国際司法裁判所に提訴することを検討しろ』と菅氏は真っ先に言い出したのです。やられたら、やり返すというのが菅氏の外交スタンスではないか、と囁かれるようになりました」(前出・外務省関係者) 

 徴用工問題、GSOMIA問題などでは、常に安倍政権のもと官房長官として厳正に対処してきた菅氏。しかし、勘違いしてはならないのは、外交方針は同じように見えて、安倍氏が外交現実路線を取って来たタイプであるのに比べ、菅氏はより“仁義”や“筋”を重んじるタイプであるということだ。 

菅義偉氏 ©文藝春秋

「韓国に対する思想的なものはないけど、菅氏は韓国が領土問題や歴史問題を仕掛けてきたならば『倍返しするぞ!』という喧嘩上等の姿勢を持つ政治家です。韓国政府にとっては現実路線を取ってきた安倍政権よりも、手ごわい相手になりかもしれません」(前出・政治部記者) 

 はたして菅政権は“嫌韓”ならぬ“喧韓”へと舵を切るのか。 

 

現実路線より喧嘩路線 韓国政府が菅総理の「倍返し」を恐れるワケ

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