昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

「余計なことをしない」が大切…スポーツビジネスが「サバイブ」するために必要なこと

池田純「スポーツビジネス・ストロングスタイル」#5

2020/09/22

 9月10日、東京ドームが決算を発表し、その中で21年1月期の連結最終損益が180億円の赤字に転落するとの予想が示されました(前期は80億円の黒字)。

 9月21日から、巨人の主催試合で観客の収容人数の上限が1万9000人に引き上げられるとはいえ、野球以外の大規模イベントの開催は依然として不透明で、日本中のスタジアム・アリーナのベンチマークである東京ドームですら、しばらくの間は、難しい経営を迫られることになるのではないかと思います。

 来年には新型コロナウイルスの感染対策も進み、各スタジアムの観客動員に対する制限措置は一層解除が進むのではないか、と私は見ています。

 ただし、以前と同じだけの動員が見込めるかどうかは別問題です。

 それこそ東京ドームのような都心の人気チームの本拠地であれば、客席は埋まるかもしれません。あるいはバスケットボールなどのような、数千人規模のアリーナも努力次第で埋めることは可能でしょう。

 しかし、地方の数万人収容可能な大きなハコとなると、しかも野球のようにほとんど毎日試合があるとなると、満員を維持するのはかなり難しくなると思います。

©iStock.com

 コロナを経て、消費者(観客)を取り巻く状況や価値観が大きく変化しているからです。

様々な取り組みが“空回り”

 一つには、人々の“懐具合”の問題があります。

 報道されているように、今年の企業倒産件数は過去最多ペース。失業率も高く、多くの人が財布の紐を緩められない状況にあります。

 たとえばプロ野球の観戦は、チケット代、交通費、スタジアムでの飲食、グッズの購入など、1人1回あたり5000円~10000円ほどのコストがかかる娯楽です。現状から察するに、それを頻繁に楽しめるだけの余裕がある人は以前よりもぐっと減ってしまったのではないでしょうか。

 その一方で、球団・クラブ、スタジアムなどの経営サイドは、この苦境をなんとか脱しよう、大幅に落ち込んでしまった売上を少しでも取り返そうと様々な取り組みを行っています。

 ただ、私もふと客観的に一歩ひいて冷静にみると、どこか空回りしているようにも見えてしまう。

 経済状況が厳しさを増していることに加え、世間はいまだ不安な空気に覆われていて、人々のスポーツに対する関心や盛り上がりはまだまだ欠けているのが現状だと思います。テニスの大坂なおみ選手の全米オープン優勝はそれなりに大きく報じられましたが、この偉業もあっというまに消費されてしまったように感じてなりません。