文春オンライン

「余計なことをしない」が大切…スポーツビジネスが「サバイブ」するために必要なこと

池田純「スポーツビジネス・ストロングスタイル」#5

2020/09/22
note

 新たに開設するYouTubeチャンネルでは、とにかく私たちが楽しいと思うことを精いっぱいやっていく。それに共感してくれる人が少しでも増えたらいいな、といった程度の気持ちです。それくらいの余裕あるスタンスで取り組むのが、やるほうも、見るほうも、心地いいのではないかと思います。

 こうした厳しい情勢下にもかかわらず、ありがたいことにブロンコスのスポンサーは増えています。これもやはり、「何か楽しそう」「おもしろそうなことをやってくれそうだな」という期待感の現れだと受け止めています。

 コロナを経て、世の人々の価値観は二極化していると感じます。すごく高級なものをたまには楽しみたい。その一方で、すごく手軽なもの、「余計なもの」がないシンプルなものを日常に求めている。その中間に位置するモノやサービスは選ばれにくくなってきているように思います。

ADVERTISEMENT

Netflixやマクドナルドは“手軽さ”の代表格

 日本での有料会員数が500万人を突破したNetflixや、今期、営業最高益を視野に入れている日本マクドナルドなどは、コロナ時代にマッチした“手軽さ”の代表格ではないでしょうか。

 見たいとき、食べたいときに、さくっと楽しめる。手間も、コストの面でも、サービスの受け手に余計な負担を求めない。そうしたあり方を、スポーツビジネスも参考にすべきだと思います。

©iStock.com

 たとえば、冒頭で触れた東京ドームのような旧来型・レガシィ型の企業が、Netflixのような新時代のメインプレーヤーとタッグを組むのもおもしろい。

 コロナ下のスポーツは、高級志向の受け皿でもなければ、マクドナルドのハンバーガーのような気軽な楽しみ方ができるものでもなく、ただでさえ厳しい“中間ポジション”にあります。そうしたポジショニングの中で、いろいろなオプションを増やし、もがくことが果たして得策なのか。空回りになっていないか。顧客に負担を強いることになっていないか。

 今の社会を覆う空気を的確に捉え、ムダな投資をしないこと。本当に注力すべき“エッセンシャル”な要素を見極めること。そして、周りがやらないようなことに取り組み、それを自らが楽しむこと。

 重たげな不安が蔓延する今だからこそ、あえてカジュアルでワイルドなスタイルを貫くことが、苦境の時期をサバイブする最善の手段なのではないかと思っています。

※池田純オフィシャルサイト https://plus-j.jp/

「余計なことをしない」が大切…スポーツビジネスが「サバイブ」するために必要なこと

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー